春ドラマ採点、ベスト3は3位「あな番」、2位「わた定。」、栄えある1位は……

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「平成最後にして令和最初の4~6月期について連ドラのベスト3とワースト3を挙げよ」というデイリー新潮からの司令。これはワタシにとって最近なかなかない難題でした。

 なにせ、ワーストは絞るのが難しく、ベストは見つけるのが難しかった、つまりは(すでに「ワースト3篇」にも書いたとおり)、視聴率的にもワタシ的にも4月クールの連ドラは凡作駄作死屍累々の海だったんです――と、愚痴とも諦めとも嘆きにも取れる、コラムニスト・林操氏が選んだ、4月期ドラマのベスト3。

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 やっとのことで、なんとか選んではみたものの、以下のベスト3はカナヅチだらけの水泳大会や世襲議員限定の首相選びの結果みたいなもんだと思っていただければ幸い也。

 まずは第3位──日テレ系・日曜10時半の「あなたの番です」。
(今期は「ドゥルルルルルルル……」のドラムロールも文末のビックリマークもなし)

 ベスト&ワーストを選ぶにあたっては、ドラマ見巧者の知り合い何人かに相談もしてるんですが、ベスト3候補として名を出すたび、ほとんど全員が反対したのがコレ。

●「変わったことをやるために変わったことをやっているだけ」
●「『anone』(去年1~3月期の日テレの連ドラ)は難解でも芥川賞系だから納得度が高かったけど、コレは直木賞系(ミステリー)なのに無駄に高踏的」
●「主演の田中圭も原田知世も芝居がなんだか戸惑っていて、いいキャスティングなのにもったいない」
●「原案が秋元康」
 ……その他いろいろ、悪評紛々に近い状態でした。

 さらには視聴率も6%台の回があったりと芳しくないにもかかわらず、それをわざわざトップ3に入れたのは、もちろん他がピンと来なかったからというのが最大だとして、それに続く理由は、さっきズラズラと並べた悪評の裏返しです。

●ニッポンのドラマは現状維持と既得権益保護による動脈硬化が進みすぎていて、「変わったことをやるために変わったことをやっている」くらいの作品をつくらないと死ぬ
●噛んで含めてわかりやすくつくるというニッポンのドラマの悪癖をブチ壊しつつ、視聴者を引っ張ってくるためには、犯人探しという強い推進力を持つ物語は有効
●主演の2人を大手の芸能プロダクション以外から選んだ制作側の意気は買い
●そういう“無茶”を社内の稟議で通すときのテクニックとして、既得権益の代表みたいな大物を企画に巻き込んでおく手があって、今回の「原案:秋元康」もソレ(だと信じたい)

 そういう「あなたの番です」は、最近のプライムタイム連ドラでは珍しく2クール=6カ月続く長丁場。6月末で終わった前半=第1部の最終話では、原田知世まで死ぬというサプライズもあって、視聴率が9%台まで急上昇。そもそも日テレの「日曜ドラマ」は、ここのところ「今日から俺は!!」「3年A組―今から皆さんは、人質です―」と濃い良作を連発してる枠でもあり、「あな番」にも大化けを期待してのベスト3入り、ということで。

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