2つの「慶應ミスコン」が対立する中、第3の団体が参戦 “謎の主催者”が明かす狙い

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 中野美奈子、青木裕子、竹内由恵、小澤陽子、宇内梨沙といった数々の女子アナを輩出してきた「ミス慶應コンテスト」。女子アナの登竜門とも言われているこちらは、慶應ガールの中で一番“イイ女”を決める毎年恒例のビッグイベントだ。しかし、今年のミスコンは大荒れの様相を呈している。「ミス慶應コンテスト2019実行委員会」と「KOPURE(コプレ)」、2つの学生団体がそれぞれに慶應ミスコンを開催して対立。そんな折、「第三の慶應ミスコン」を掲げる団体までもがひっそりと現れたのだ。この第三の慶應ミスコンの正体に迫る!

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 ミスコンの開催を巡って慶応義塾大学が大いに揺れている。

 これまでの経緯を簡単に説明すると、まず2016年に大学公認のミス慶應主催団体(学生団体)の一部メンバーが集団強姦事件を起こし、解散に追い込まれた。17年は不開催だったが、18年に大学非公認団体「ミス慶應2018実行委員会」によって再びミス慶應が開催された。

 しかし、今年3月、昨年に続き実行委員会がミスコンの開催を宣言すると、翌4月には(今年設立したばかりの)別な大学非公認団体「KOPURE」も開催を宣言。なぜKOPUREは参戦してきたのか、その真意は定かではないが、大方の見方では、実行委員会に対して運営方針の不満などがあったとされている。

 このように、2つの学生団体が慶應ミスコンの開催を主張し、両団体は「ミス慶応コンテスト2019」の名称などを巡って弁護士を立て、「我こそが本家」と対立。実行委員会は7名のミス候補を、KOPUREは6名をそれぞれに擁立する形となったのだ。

 例年、ミス慶應の発表は毎年11月の学園祭(三田祭)の表彰式で行われる。しかし、今年は両団体が表彰式を行うことになるのか、片方の団体しかないのか、ノミネートされた慶應ガールの立場はどうなるのかなど、先行きは不透明だ。

 そんなさなかの4月28日に、Twitter上に「第三の慶應ミスコン『わたしの一番はわたし』」なるアカウントが誕生した。第三のミスコンの主催者は、「企画者よりも企画自体に注目してもらうために匿名で活動している」という。

 すでに2団体のミスコンが存在し、対立しているなか、新たな団体を旗揚げした意図は何なのだろうか。

一番のわたしは“ゴジラ”

 匿名を条件に、主催者が取材に応じてくれた。

「慶應のミスコンは多くの企業の協賛を得ていますから、アナウンサーを目指さなかったとしても、就職に有利な肩書きや経験を得られるというメリットがあります。が、そもそも女性を順位付けすることに対して、私はずっと違和感を覚えていました。美は競われるものではなくて、皆それぞれに一番というものがあるはず。みんな素敵な女の子であることを紹介できるような場があれば、それこそがミスコンなんじゃないか――という想いから第三のミスコンを立ち上げました」(第三の慶應ミスコン主催者)

 第三のミスコンは、応募者全員にフォーカスするコンセプトなため、1位を決めることもないという。まだ始動したばかりのプロジェクトなため、今後どのようにミスコンを運営していくかははっきりと決まっていないそうだが、

「1位を決めることはしませんが、本家のミスコンの選考に通らなかった子の復活戦みたいなテイストでやってみるのも面白そう。あるいは、もし『思いっきりミスコンっぽくやってほしい』という要望が出てくれば、そのようなテイストで表現するかもしれません。いずれにせよちゃんと応募者一人一人と向き合った上で決めていきたいです」

 第三のミスコンでは、各々の参加者が思う「一番のわたし」をヒアリングし、その実現に向けメイクアップや撮影などで、できる限りのバックアップを行う方針。これまで2人のエントリーがあり、先日、エントリーNo.1の学生の撮影を終えたところだ。

「エントリーNo.1の女子学生は、自分が理想とする“一番のわたし”像を、『やりたいと考えたことをすぐに実行できる体力のある女性』と掲げ、そのイメージを投じてなのか、『ゴジラになりたい』とか。ゴジラをイメージしたメイクと衣装に扮してもらい、東京駅の前で遠近法を使って被写体が大きく写るように撮影しました(写真)。彼女が理想とする、強さを秘めた女性を表現できたかと思います」

 一般的にミスコンの応募写真といえば、女子が緑や花をバックに微笑んでいるカットが定番。対してこちらは、さながらゴジラのように上体を起こして横たわったポーズ、威嚇するようなダークな眼差しが、ほかの2団体のミスコン女子たちとは明らかに一線を画している。

留学生やLGBTも応募可

 第三のミスコンの強みは、なんといっても前例主義にとらわれない門戸の広さと、多様な美を認める度量だ。

「従来のミスコンのファイナリストではほとんど見かけないような、派手な髪色の子や眼鏡をかけた子がいたっていいと思うんです。留学生やLGBTの人のエントリーもウェルカムです」

 第一のミスコン「ミス慶應コンテスト2019実行委員会」は、フジテレビのアナウンススクール「アナトレ」や株式会社DHCなど多くの企業の協賛を得て、ファッション誌との連動企画なども予定しており、賞金も出る。第二のミスコン「KOPURE」も今年5月24日に運営のアドバイザーとして堀江貴文氏を迎え入れ、マネタイズなどに力を入れていく構えと予想される。

 では、第三のミスコンは、協賛・後援などによる展開は視野に入れているのだろうか。

「自由なかたちのミスコンにしたいので、今のところ協賛などは考えていません。もともと女の子の写真を撮るのが好きで、ヘアメイクや衣装作りなどは慣れていますし、カメラマンを雇うわけでもないので費用はある程度抑えられるかな、と。まずは自分の得意な『写真』から始めて、徐々に表現方法を広げていけたらと思っています」

 商業・競争主義に走らず、多様な美を讃え合う「第三のミスコン」。半年後には、どんなミス慶應たちが誕生しているだろうか。

取材・文/松嶋千春(清談社)

週刊新潮WEB取材班

2019年7月6日掲載

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