日本の輸出規制、韓国では「単なる報復ではなく、韓国潰し」と戦々恐々

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WTOで韓国は「藪蛇」に

 韓国メディアが一斉に報じる、もう1つの対抗策が「WTO(世界貿易機関)への提訴」である。日本が報復措置として韓国製品を差別するのは自由貿易の精神に違反している、との主張だ。

 だが、「訴えても勝てない」との見方が韓国でも多い。なぜなら、今回の措置はあくまで「制度の厳格な運用」であり、「韓国に対する優遇措置の廃止」に過ぎないからだ。

 下手に訴えると韓国の「藪蛇」になる可能性もある。「大韓民国向け輸出管理の運用の見直しについて」に、興味深いくだりがある。経産省の発表文を引用する。

・輸出管理制度は、国際的な信頼関係を土台として構築されていますが、関係省庁で検討を行った結果、日韓間の信頼関係が著しく損なわれたと言わざるを得ない状況です。
・こうした中で、大韓民国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっていることに加え、大韓民国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生したこともあり、輸出管理を適切に実施する観点から、下記のとおり、厳格な制度の運用を行うこととします。

 日韓のメディアは「対韓報復」の原因に、いわゆる「徴用工」裁判の判決や、自衛隊機に対する射撃管制レーダーの照射をあげる。発表文の「大韓民国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっていること」がそれに相当するのだろう。

韓国は「核武装幇助」

 では、それに続く「大韓民国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生したこと」とは何を意味するのか。国連の対北朝鮮制裁を韓国が堂々と破っていることを指すと思われる。

 韓国電力の子会社は密輸された北朝鮮の石炭を購入し使っていた。洋上で北朝鮮の船舶に石油などを積み替える「瀬取り」の国際的な監視網にも韓国は参加していない。北朝鮮に近い左派の文在寅(ムン・ジェイン)政権が「瀬取り」を黙認するためと疑う向きが多い。

 北朝鮮の開城にある南北共同連絡事務所の運営用として韓国政府は石油を提供している。平壌で南北首脳会談を開いた後の2018年11月、「北朝鮮から送られたマツタケのお返し」として韓国政府は「ミカン200トン」を送った。保守の自由韓国党は「送ったのはミカンだけだったか」と疑念を表明した。

 韓国は人道支援を名目に北朝鮮に対するコメ支援も開始した。これを突破口に、開城工業団地や金剛山観光事業を再開し、現金も北朝鮮に送る計画だ。

 要は、韓国はモノやカネを北朝鮮に送り、核武装を幇助しているのだ(「文在寅は金正恩の使い走り、北朝鮮のミサイル発射で韓国が食糧支援という猿芝居」参照)。

ウラン濃縮にも使うガス

 もし、韓国が「不公正貿易だ」とWTOに訴え出れば、日本は「韓国が国連制裁を破っているので『怪しい国』に認定しただけ」と反論するつもりであろう。

 だからこそ、今回の韓国に対する輸出管理強化の2段階目が「外為法輸出貿易管理令で定める『ホワイト国』から韓国を外す手続きの開始」となっているのに違いない。

 「信頼できる国」を意味する「ホワイト国」から外されれば、大量破壊兵器と通常兵器の開発と製造に使われる恐れのある物質や技術の日本からの輸入に関し、日本政府の審査が必要となる。

 7月4日の制裁発動を控えた3日、世耕弘成経産相は「特に兵器などに転用される可能性がある技術を輸出する際には、しっかりとした管理を常に行うことが求められている。そういう意味で、不断の見直しの努力を行うのは国際社会の一員として当然だ」と、韓国の怪しさをさりげなく強調した。

 なお、純度の高いエッチングガスはウラン濃縮の工程でも使われる物質である。韓国の反撃を期に、日本は西側の国に対し「北朝鮮だけではなく、その核武装を助ける韓国も経済制裁の対象にすべきだ」と呼び掛けるかもしれない。

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