「ジャニーズ帝国」売上1千億円超でもエンターテインメントとしては終わり?

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 ジャニー喜多川氏(87)の緊急搬送という「前震」が、芸能界全体を巻き込む「激震」を引き起こすのではないか――。

 そんな声が絶えない一方で、芸能関係者が口を揃えるのは、「たとえ万一の事態が起きても、ジャニーズ事務所は一気に崩壊しない」ということだ。

 懐事情に着目すれば、その指摘に誰もが頷かざるを得ないだろう。

 2004年分まで公表されていたジャニーズ事務所法人申告所得(売り上げから経費等を除いた課税所得)は、毎年およそ80億円前後にのぼる。スポーツ紙記者は、

「これに加えて、レコード会社のジェイ・ストーム、音楽著作権を管理するジャニーズ出版など10社を超える関連会社がある。これらグループ全体の売り上げは合計で1千億円を超えるとも言われます。次の代どころか、5代先までカネに困らないと思いますよ」

 しかも、嵐だけで200万人を超えるというファンクラブも盤石。親子3代でジャニーズファンというケースも珍しくない。

 さらに、ジャニーズの関連会社は、渋谷や赤坂周辺に十数棟のビルを保有している。これについては、

「とにかく物件の選び方が秀逸で、不動産投資に精通している印象です」

 と国税庁OBの鈴木修三税理士も太鼓判を押す。

「所有物件は今後値上がりが予想される都内一等地の物件ばかり。それも、購入したのはほとんどがバブル崩壊後で、優良な土地をいい時期に手に入れている。老朽化した物件を買って取り壊し、新しいビルを建てる手法は2000年以降の不動産投資の王道です。目利きのブレーンがいるように感じます」

 浦野広明税理士も、

「不動産の購入費用は減価償却で経費として計上できるため、節税につながります。また、不動産は路線価等に基づく評価額に換算されるので、現金よりも6~7割ほど額面が下がる。会社が所有者の場合は株式の評価額も圧縮され、結果として相続税を安く抑えることにもなる」

 見事な財テクという他あるまい。ここまで聞けば、今後も「帝国」にはつけ入る隙がないように思えるが、先のスポーツ紙記者はこんな懸念を口にする。

「目下の容態はともかく、80代後半のジャニーさんが経営から退くことは当然想定しなければならない。後継者はジュリーさん(藤島ジュリー景子・副社長)ですが、ドル箱の嵐は来年末での活動休止が決まり、TOKIOも山口達也の脱退騒動を引きずっている。そうしたなか、嵐やTOKIOを育て上げた手腕や実績がある彼女といえども、そう易々と新たな国民的アイドルを生み出せるかどうか……」

 元ジャニーズJr.で作家の平本淳也氏も、

「ジャニーさんが経営の表舞台から姿を消すようなことがあれば、企業としてはともかく、ジャニーズのエンターテインメントは終わると思います」

 と断じる。

「ジャニーズ事務所はこれまで、人材発掘と育成の現場を担うジャニーさんと、営業やマネジメントを預かるメリーさん(メリー喜多川・副社長)の両輪で機能してきました。後継者として名前の挙がるジュリーさんはメリーさんの下で帝王学を授けられてきましたが、彼女はタレント育成よりも不動産投資に興味があるように思えます。そもそも、ジャニーさんの先見の明や、天才的なプロデュース力は誰にも真似できません」

週刊新潮 2019年7月4日号掲載

特集「『ジャニー喜多川』重篤の『前震』『本震』『激震』」より

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