「ココカラファイン」争奪戦でドラッグストアはどう変わる?

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 ドラッグストア(DS)業界で覇権争いが激しさを増している。あのマツモトキヨシホールディングスが4月に業界7位のココカラファインとの資本業務提携の検討を発表したものの、6月1日には愛知県に基盤を持つスギホールディングスがココカラとの経営統合を検討中だと明らかにした。この争奪戦に勝利した方が業界トップに躍り出る。

 DS業界は、百貨店の売り上げを超えて7兆円産業にまで急拡大し、2025年の売上げ目標10兆円を掲げて今やコンビニ業界に迫る勢いだ。流通専門誌の記者によれば、

「医薬品は安定供給の名の下、他の商品に比べて店頭で大幅な値引きがし難い。それでDSは医薬品を安く仕入れて定価で売り、その儲けで家庭用品などを仕入れて安売りしています」

 DSは医薬品以外の商品を客に“ついで買い”させることで利益を得ているとの分析も。

「DSへ行く時、客は薬を買うという具体的な目的があります。が、店内には化粧品やドリンク、菓子なども陳列されていて、物によってはディスカウントショップよりも安い。その値札を見た客が、ついでにこれらの物も買うわけです」(同)

 目下、業界首位は売上げ約7791億円を誇るウエルシアホールディングス。とはいえ、業界6位のスギも売上げ約4884億円と、群雄割拠の時代が続いている。ここ数年、DS各社が力を注いでいるのは調剤併設店舗数の拡大だという。薬品メーカー幹部の解説では、

「薬事法の改正で、コンビニなどでも一部の医薬品が購入できるようになりました。そこでDS業界は顧客の来店目的をより明確にするため、基本的には処方箋の必要な調剤を扱ってコンビニなどとの差別化を図ろうとしています」

 だが、調剤には国家資格を有する薬剤師が必要だ。

「2年前、マツキヨは22年間死守していた首位の座をウエルシアに明け渡した。敗因は、調剤併設店の少なさが挙げられました。ココカラは薬剤師を多く抱え、マツキヨには喉から手が出るほど欲しいパートナー。また、スギは店舗網を拡大したい狙いがあり、両者とも一歩も引けません」(同)

 王者のウエルシアと業界2位のツルハホールディングスは、同じイオン系で統合の噂も。DS業界は、生き残りをかけた合従連衡の時代に突入している。

週刊新潮 2019年6月20日号掲載

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