元チャンプ「柴田国明」が鳴らす名門ヨネクラジム再興のゴング

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“先にブン殴れ”

 柴田氏が描くビジョンは、

「ジムを構えるのではなく、国内外から逸材を掘り起こす。そして、ヨネクラ関連の、たとえば大橋秀行会長の大橋ジムに所属させるといった活動です。あわせて、その選手を応援してくれる企業を探したり、被災地への復興支援に行くといったこともやりたいですね」

 所属選手をマネジメントしつつ、既存のジムと“業務提携”するということか。

「詳細はこれからですけど、『ヨネクラボクシングスクール』というNPO法人があります。十数年前、トレーナー育成などを目的としてオヤジと立ち上げました。ここを選手の受け皿にできないか検討しているんです。軌道に乗れば、ヨネクラの文字は残る。すでに唾をつけている選手もいますよ」

 もう試合開始のゴングは鳴っているわけだ。

「あと、オヤジがイメージトレーニングの達人だったことも伝えたい。後援者の前でも練習中でも、世界タイトル戦に向かう飛行機の中でさえ、“お前は世界一になれるぞ”と言い続けるんです。俺はそれを素直に聞いた結果、チャンピオンになれたと思っています」

 ちなみに、そのオヤジから授けられたリング上の作戦は、単純にして明快。

「“先にブン殴れ”でした。必死で守りましたよ。オヤジの言うことは絶対でしたから。あのファイティング原田さんだって、17キロも減量をして戦い、世界を獲りました。とにかく打って打って、打ちまくる。教科書通りではないですがね。昭和の時代はこういう感じがあったじゃないですか」

 反対に、と、いま快進撃を続けている井上尚弥選手の名を挙げて、

「すばらしい選手。まさに教科書です。構えが自然体で、常にいいポジションを取っている。非の打ちどころがありませんよ。ただ、本当の強さって、腹を減らした人にしか出せない気がするんですよねえ……」

 井上選手は大橋ジム所属。“源流”はオヤジだ。柴田氏の新たな活動は、井上選手並みのモンスター発掘につながるだろうか。

週刊新潮 2019年6月20日号掲載

ワイド特集「『令和』に踊る『昭和』の影法師」より

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