犬肉の本場、韓国で上映された「反・犬肉映画」 最大の犬肉処理場は閉鎖

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韓国最大の食肉処理場が閉鎖

 あわせて、最新食肉事情も取材してきた。

「大きな動きとしては、ソウル市の隣のソンナム市にあった、韓国最大の犬の食肉処理場『テピョンドン屠殺場』が、数カ月前に閉鎖になったとのことです。私の上映会に協力してくれた『CARE』によれば、このとき彼らは犬肉業者たちと衝突し、警察を呼ぶ騒ぎになったと言っていました。今後は公園になるらしいです。愛護団体だけでなく、以前から近隣住民から臭いなどの苦情も寄せられていたらしく、私が話を聞いた住民も『閉鎖してくれてよかった』と。雇い主は韓国人だけれど、働いていたのは中国人がほとんどだったとも言っていました。このあたりも、意外な話かもしれません。場所を変えて屠殺は続くのかもしれませんが、最大の屠殺場が行政の手によって閉鎖に追い込まれたのはとても大きいと思います。犬肉市場として知られるモラン市場 やキョンドン市場も、以前、撮影で訪れたときに比べて、かなり犬肉屋が減っていましたね。私が見た限りでは、それぞれ3軒ほど。それでもやはり年配の方は犬肉を買っていきましたけれど」

 本場でも、犬肉の売買は減っているようだ。なにせ国のトップでもある文在寅(ムン・ジェイン)大統領も、愛護団体に保護された元・食用犬を飼っているそう。さらに韓国の国会議事堂の前では、こんな光景も。

「ある動物団体が食犬飼育場から犬たちを保護して、そのまま国会前の公園に陣取っていました。その犬たちを見せて『もう我々保護団体は疲弊しているので、これからは政府が動け!』というスローガンを掲げているんです。何人かの国会議員が保護団体側に賛同しているようで、大学生や主婦が24間体制で公園に座わり込んでいました。私が行ったときは20頭ほどいたでしょうか。食用犬といっても、近づけばフレンドリーで、普通の犬と何ら変わりありません。もっとも、犬肉産業側も『職業を差別するな。我々の生活を保障しろ』と幟(のぼり)を掲げていましたけどね」

 反発されながら消えゆく、犬肉文化。『アジア犬肉紀行』を観て、その是非を考えてみては――。(日本語サイト:http://www.adg-theater.com/asiandogs/

週刊新潮WEB取材班

2019年6月16日掲載

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