丸山議員「戦争発言」は政府にも責任あり 長年、北方領土問題を軽視してきたツケ

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地元の長年の努力を無に

 一方、丸山氏が所属する日本維新の会は極めて迅速に対応した。松井一郎代表(大阪市長)は即刻、丸山議員を除名している。地盤だった大阪19区(泉佐野市、貝塚市、泉南市など大阪府南部)の候補も元衆院議員に選定し終えている。松井代表は6月2日、札幌市で大塚団長に直接会って詫びた。ダブル選挙(大阪市長、大阪府知事)の勝利などで現在、「飛ぶ鳥を落とす勢い」の大阪維新だが、かつて橋下徹人気だけで若手の多数が当選したものの非常識な人物も散見した。「国会すっぽかし温泉旅行」の上西小百合前衆院議員(大阪7区)も丸山氏の同期当選だ。それにしても丸山氏は東大でいったい何を勉強していたのだろうか。

 ビザなし交流は毎年、5月から9月にかけて、根室港から政府の専用船で国後島や択捉島など北方領土へ数回訪れるもので1992年から始まったが、旧島民、交流団体、研究者など、外務省が認めた人物しか参加できない。船が小さいなどの物理的制約もあり、報道陣すら少数に限定される。そんな「厳選」のはずの中、今回、政府はこの男を選んだのである。丸山議員は2012年から当選3回。橋下徹氏への「生意気発言」で騒ぎになったり、飲酒した店で喧嘩沙汰になり怪我をするなど物議を醸してきた「軽薄な目立ちたがり屋」だ。経産省時代からも「酒乱」で通っていたという。民間人だったわけではなく政府は調べるまでもなく同行させるべきでない「危険人物」だとわかったはずだ。

 ロシア人をホームステイさせるなど現地での日露交流に尽力してきた根室市の波多雄志市議(85)は「丸山議員は沖縄北方問題特別委員会委員をしているので国会議員枠で同行したが、訪問者枠が限定されていて故郷に行かれないままに亡くなった旧島民も多数いることを考えると本当に許せない気持ちです。敗戦当初は『ソ連を攻めて取り返す』と息巻いた人もいた、もちろんそんなことはできず我慢してきた。メドベージェフ首相が国後島を訪問した時なども旧島民の皆さんは強い怒りを感じたがそれを強く言うことを我慢し、政府の対話に期待してきた。丸山発言はそんな地元の人たちの長年の努力を無にしてしまうような暴挙です。ああいう人物を同行議員として選んだ政府の責任も大きい」と語る。

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