「令和の怪物」大争奪戦へ 大船渡・佐々木朗希が入団すべき球団はここだ!

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楽天とロッテも…

 一方、日本ハム以外で推したい球団は、楽天とロッテだ。楽天は、日本ハムと同様に大物高校生投手の抜擢と成長が目立っている。安楽智大、藤平尚真は少し苦戦しているが、田中将大を球界の大エースに成長させた実績は大きい。田中の入団時は、チーム創設間もなく、戦力的に不足していた状況もあるが、我慢して先発で使い続けたことが田中にとっても大きなプラスだったことは間違いない。

 背番号1を背負う松井裕樹も1年目から多くの経験を積み、2年目以降はリーグを代表する抑え投手に成長した。田中も松井も入団当初は欠点も多かったが、それを上回る武器に目を向けて起用し、チームの柱となったという成功体験は何よりも大きい。佐々木は地元東北出身であり、熱烈なファンの応援を受けられるという点もメリットだろう。

 ロッテは平沢大河、安田尚憲、藤原恭大とここ数年で大物高校生野手を1位指名で獲得し、チームをスケールアップさせる狙いが感じられる。まだ3人とも一軍の戦力にはなっていないが、二軍で確実にステップアップしており、近い将来チームの中心となる可能性が高い。また、投手陣もエース格の涌井秀章、石川歩がベテランの域に入ってきているが、二木康太や岩下大輝、種市篤暉など高卒の本格派投手が徐々に育ちつつある。チーム全体に伸び盛りの若手が多く、切磋琢磨しやすい環境は、佐々木の成長を促す意味でもプラスになるはずだ。

 ここまであげたのは、いずれもパ・リーグの球団であるが、統一ドラフトとなった2008年以降の指名と入団後の成長を見ると、やはりセ・リーグでは推したいと感じる球団がないのが実情である。菊池雄星、大谷、松井、清宮といった高校生の目玉選手がパ・リーグに入団しているのは、それだけドラフトで攻めている球団が多いからだ。

 ただ、昨年は根尾昂(大阪桐蔭→中日)、小園海斗(報徳学園→広島)と高校生の目玉選手二人をセ・リーグ球団が引き当てたのは、こうした流れが変わる予兆ともいえる。セ・リーグ球団が佐々木を引き当て、スケールの大きい高校卒の大物選手がパ・リーグに偏る現状を打破できれば、球界の勢力図も変わってくる可能性も出てくるだろう。

「令和の怪物」は、どの球団のユニフォームを着て、躍動するのか、今秋のドラフトへ向けて、ますます注目度は高まっていく。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

週刊新潮WEB取材班編集

2019年6月10日掲載

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