櫻井よしこさんら保守論客が「被害」 日系米国人のトンデモ慰安婦映画

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「言葉によるリンチ」

 テキサス親父日本事務局の藤木俊一氏も、

「大学院修了プロジェクトで、私とテキサス親父ことトニー・マラーノにインタビューしたいと言われました。デザキさんが以前、ネットで炎上騒ぎを起こしたことも知っていたので、疑ってかかりましたが、“大学で勉強し、慰安婦証言があやふやで信用できないことも知った”と言うので、大学院の研究だし、と思って受けたのです」

 しかも、藤木氏らは事前に合意書も交わしていた。

「公開前に見せ、意図と違う使い方をされたらフィルムの最後に、私が映画に不服である旨を記すことになっていた。ところが、公開するが事前に見せられない、という旨を、メールで一方的に知らされたのです。法的措置も検討したい」

 なでしこアクションの山本優美子代表も、ほぼ同様の被害に遭い、

「大学院生からお金はとれません。学究に資するものと信じて取材に応じたのに、まさかこんな形で裏切られるとは、同じ上智の卒業生として悲しい」

 と当惑。元拓殖大学教授の藤岡信勝氏も、藤木氏と同じ内容の合意書を反故にされ、おかんむりだ。

「この映画は私たちの議論のあと、向こう側の議論が延々と続き、私たちに再反論の機会が与えられていません。ディベートではなく、言葉によるリンチです」

 映画はこれから6月、7月と、全国で公開されていく。記者が観たときは終了後も観客が残り、日本の右派の“不勉強”や“差別的姿勢”について、声高に非難を浴びせていた。

 配給会社の東風に監督への取材を申し込むと、スケジュールが合わないうえ、

「英語話者なので、日本語での取材は受けかねる」

 と答えたが、藤岡氏は、

「私へのインタビューでは、デザキさんは完全なイントネーションの日本語を話し、私は日系アメリカ人だと知らなかったほどです」

 再度、東風に確認すると、

「日本語で複雑な議論は難しく、丁寧に回答したいという本人の希望もあり、取材は通訳を介しています」

 ともあれこの映画の周りでは、常識がとことんひっくり返っているらしい。

週刊新潮 2019年6月6日号掲載

ワイド特集「傷だらけの勲章」より

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