「助けてください」 週刊新潮が報じていた「殺人老人ホーム」入居者からのSOS

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「助けてください」

 そう言われてみれば、本誌(「週刊新潮」)にも思い当たるところがあった。4回にわたり掲載した「『老人ホーム』優・良・不可の実名」の第2弾に、都内のある老人ホームを見学した男性会社員の、こんな体験を紹介していた。

〈建物はきれいで、掃除も行き届いている。(中略)あれっと思ったのは、食堂に集まった入居者がリハビリ体操をしているのを眺めていた時だ。ほぼ全員が無表情で、笑みを浮かべている人が見当たらない。そして、一人の車椅子の女性が体操の途中で退室する際、見学していた男性会社員の方を見て、こう言ったのである。

「私たちを助けて下さい」〉

 実は、この会社員が訪れていたのが、まさにサニーライフ北品川だったのである。あらためて会社員氏にふり返ってもらうと、

「このとき、比較的元気な人は、体操を指導する機能訓練士の女性に近い場所で、座ったまま腕を上下させていましたが、周囲を取り囲む車椅子の方々はほとんど体を動かしていません。動かせないのかもしれませんが、一番前の女性がニコッと笑った以外、だれも笑顔ではないのが不気味でした。その女性が“助けてください”と言うと、案内してくれていた支配人は気まずそうに“認知症なんです”と言っていましたが」

 男性会社員のこの目撃談は、事件が発生する2週間前のもの。運営会社に、元看護師が証言した勤務実態等もふくめ、事実であるか質問したが、期限までに回答をもらえなかった。

 いずれにしても、車椅子の女性が投げかけたSOS、支配人は気まずそうにしている場合でなかったことだけは、間違いない。

週刊新潮 2019年6月6日号掲載

ワイド特集「傷だらけの勲章」より

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