Jリーグが「世紀の大誤審」を「ビデオで解決」しようとする安直姿勢

スポーツ 週刊新潮 2019年5月30日号掲載

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 それは5月17日のJ1リーグ「浦和対湘南」で起きた。

 2―0で浦和リードの前半31分、湘南の選手がシュートを決めて2―1とした――が、審判はなぜかゴールを認めず。湘南は抗議したが判断は覆らなかった。

 試合は後半に湘南が3点を奪って3―2で逆転勝ちしたから良かったものの、

「Jリーグは、例えばプロ野球と比べても、試合数が少なく、1点の重みが大きい。J2陥落など経営面で深刻な結果を招く恐れもある。実際、昨季の湘南は得失点差で辛くも降格プレーオフを逃れています」

 こともあろうに、この試合、Jリーグの村井チェアマンの“御前試合”だった。

「村井さんも“私の見ている席からもゴールを割っていたように見えた。ゴールラインテクノロジー(GLT)導入も議論しないと”とショックを隠せないようでした」

 GLTとは、高速度カメラまたはセンサーでゴールを判定するシステム。W杯や英プレミアリーグなどでは導入済みだという。

 また、ビデオカメラを張り巡らせて別室で副審判員がビデオ映像をリアルタイムで確認する“VAR”というシステムの導入も議論されている。こちらは、大相撲の物言いでおなじみだ。

 しかし、

「GLTは1会場あたり設置に1億円近く、VARも2、3千万円かかります。さらに維持費と、VARなら副審判員の人件費もかかります。相撲と違って、広いピッチを網羅するには多くのカメラが必要だし、そもそもサッカー場ってたくさんありますからね」

 結局、臨時に開かれた審判委員会では、8月からゴール付近に追加副審を配置することを目指すこととなった。もっとも、今回の大誤審、追加副審やGLT、VARがあれば防げただろうが、そんなコストを掛けずともまともな審判なら起こりえなかった。なぜなら、

「GKはじめ浦和の選手たちすらゴールを疑っていなかった。本来、審判は争いを仲裁する存在のはず。争いがないなら余計な口出しをすべきではないんです」

 まずは、審判の教育から始めるべし。