「なつぞら」おんじ役で再ブレイク! 草刈正雄が語る「極貧生活」「芸能界デビュー」

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交通事故でドラマ降板

 一見、順風満帆に見えますが、そこに至るまでにはちょっと曲折がありました。

 あれは19歳の時、たまたまオフで出かけた群馬県の高崎で、自分が運転していた車で交通事故を起こしてしまい、相手の方を怪我させてしまったんです。

 僕はノミの心臓で、とても気が小さかったものだから、翌日からまったく仕事が手につかなくなった。その時は大和田伸也さん主演の「トリプル捜査線」という作品に、新米刑事役で出演させて貰っていましたが、事情を話し「高崎に行きたい」と、自分から降板を申し出た。現地に3カ月ほど下宿して、被害者の方が入院する病院へ、赦(ゆる)しを頂けるまで見舞っていたんです。

 それを知った篠田正浩監督が、ちょうど岩下志麻さん主演の映画「卑弥呼」で弟役を探していたこともあって、僕を抜擢してくれたそうです。次に出演した東宝映画「神田川」は高橋惠子さんが主演、私が相手役でしたが、これも岩下さんのマネージャーの方の推薦があってのこと。これを機に東宝さんに可愛がって貰い、専属となって何本かの映画に出演できた。本当に皆さんのおかげで次々と出演作に恵まれたんですよ。

〈当て逃げ疑惑が囁かれる「テキトー男」とは大違いの対応が、身を助けたに違いない。さらに20代半ばの草刈は、マルベル堂のブロマイド売上で1位に輝き、スターへの階段を一気に駆け上がっていく。〉

(2)へつづく

週刊新潮 2019年5月30日号掲載

独占手記「『なつぞら』おんじに『シニア世代』が生き抜くヒント! 60代半ばで再脚光! 『三つの試練』がもたらした『草刈正雄』復活の日」より

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