朝日新聞「元政治部記者」が立憲民主党から参院選に出馬へ 東大法学部卒の超エリート

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朝日と立憲に親和性!?

 意外かもしれないが、新聞記者出身の政治家は決して少なくない。今の安倍内閣なら、茂木敏充・経済再生相(63)が読売新聞の記者だった過去を持つ。そして、朝日新聞も例外ではない。

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 現職なら、第2次安倍改造内閣で法務相を務めた松島みどり衆議院議員(62)だろう。東大の経済学部を卒業し、朝日新聞に入社。経済部から政治部に進み、自民党幹部の番記者を務めたという。

 元職や故人の政治家はきりがないから割愛するが、大物を挙げるとすると、河野太郎外相(56)の祖父にあたる河野一郎(1898~1965)、緒方竹虎(1888~1956)も元朝日新聞の記者だ。更に朝日新聞は首相も輩出している。第79代内閣総理大臣である細川護熙氏(81)だ。

 そして、同じように政治史に名を残そうというのか、朝日新聞、それも政治部の記者が今夏の参院選に出馬するという。政党は立憲民主。当然ながら、ライバル紙も動向に注目しているようだ。政治部記者が明かす。

「出馬の準備を進めているのは山岸一生さんという記者です。都内の名門中高一貫校から東大法学部に進み、2004年に入社しています。年齢は30代後半のはずでしょう。実は、今は削除されてしまったようなのですが、かつては朝日新聞の就職案内サイトにある『社員の1日』に登場していました。それによると高知総局を振りだしに、京都総局を経て東京本社の政治部。それから那覇総局に転じ、再び東京本社の政治部に戻っています。那覇総局が出世コースという全国紙は少なくありません。『社員の1日』では自民党・二階俊博幹事長(80)の番記者である日常が紹介されていましたが、最近は野党担当だったはずです」

 今のところ最後の署名記事となっているのは5月14日に掲載された「野党、候補者調整を加速 参院選、一本化へ柔軟姿勢 1人区、共産がカギ」だ。

 記事の内容は、参院選を目前にしているが野党候補一本化には共産党がネックになっているとし、立憲民主党と国民民主党の歩調が合っていないことも指摘した内容になっている。

 上記の記事は、1人の政治部記者が書いたものとしては何の問題もない。だが政治家に転身したとなると、物議をかもしそうな署名記事が散見される。

 まずは3月21日(電子版)の「立憲会派ベテラン、国民若手を勧誘『国民は潰れる』」という署名記事だ。

《立憲民主党会派入りした岡田克也元外相ら旧民進党ベテラン議員が、国民民主党の若手議員の「勧誘」に乗り出した。(略)国民執行部は反発を強めている》という書き出しなのだが、立憲から出馬する記者が執筆した原稿に「国民は潰れる」という見出しがつけられたのだ。

 見出しは別部署が作成するとはいえ、そのエッセンスが記事に含まれているのは言うまでもない。何より、「山岸記者自身が立憲に勧誘されたのではないか?」というツッコミを入れたくなる。

 更に18年10月には「支持率1%、『国民民主は倒産危惧企業』 企業広報の専門家分析」という記事もある。見出し通りの内容で、これも1人の記者が書いたものとしては何の問題もない。

 当時は出馬など全く考えていなかったかもしれない。とはいえ、参院選に立候補するとなると、既に公人と言っていい。過去を不問にするわけにもいかないだろう。立憲民主党にシンパシーを抱いていたからこそ、国民民主を批判する記事を書いたのではないか――と、指摘されても仕方がないだろう。

 何より野党共闘の必要性を指摘しておきながら、その国民民主党を「倒産危惧企業」と書いた。今の立場を考えれば、なかなかの矛盾と言える。晴れて政治家になったら、どのように弁解されるのだろうか。もちろん、しっかりと説明責任を果たしたとしても、“山岸参議院議員”に対し、国民民主の議員は簡単に胸襟を開くわけにはいかないだろう。

「データベースで過去の署名記事を調べてみると、2009年に自民党が下野し谷垣禎一さん(74)が野党の自民党総裁に就任された時、山岸さんは谷垣さんの番記者だったようです。谷垣さんは京都5区が地元でしたが、山岸さんも京都総局に勤務していましたから、その頃から面識があったのかもしれません。いずれにしても、12年に谷垣さんは総裁選の不出馬を決断し、そのインタビュー記事を山岸さんが担当しています。いわゆる自民党のリベラル派にシンパシーを抱いていたのだとすれば、立憲民主党に惹かれた気持ちも理解できなくはないですね」(同・政治部記者)

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