蟻地獄に堕ちた韓国経済、「日本と通貨スワップを結ぼう」と言い出したご都合主義

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IMF危機のデジャヴ

 1997年の通貨危機――韓国ではIMF(国際通貨基金)危機と呼ぶ――の際、ムーディーズは2カ月弱で6等級も韓国の格付けを引き下げた。格付けが下がるたびに資本逃避が起き、それが次の格下げを呼んだのだ。

 IMF通貨危機の背景には、米韓関係の悪化があった。金泳三(キム・ヨンサム)政権の反米に手を焼いた米国が、危機に瀕した韓国にドルを融通せず、日本に対しても「貸すな」と指示したのである(拙著『米韓同盟消滅』(新潮新書)第2章第4節「『韓国の裏切り』に警告し続けた米国」参照)。

 米・日に見捨てられた韓国は、IMFからドルを借りる代わりにその指導下に入る、という屈辱を味わった。そしてこの経験が韓国人の反米感情に油を注ぐことになった。

 ちなみに、米国のアジア専門家、グリーンCSIS上級副所長は2017年5月5日、中央日報に寄せた記事で、大統領選挙を戦う文在寅氏に対し、反米・反日政策をとるな、と警告した。

「盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏も大統領選挙の最中に米国を批判したら、当選後にムーディーズが格下げしたことを思い出せ」と、通貨危機を脅し材料に使ったのである(拙著『米韓同盟消滅』(新潮新書)第2章第4節「『韓国の裏切り』に警告し続けた米国」参照)。

 厳密に言えば、格下げではなく「強含み」から「弱含み」に変えただけなのだが、それでもIMF危機から6年しかたっていない当時の韓国にとって、大きな脅威となったのである。

日本とのスワップが頼みの綱

 イ・チョルホ記者も今、IMF危機を思い出しているのだろう。「危機の韓国経済、韓日通貨スワップ復元など最後の安全弁を用意する時」で、日本と通貨スワップを結べ、と主張した。以下である。

《 まともな政府なら今ごろ、韓米通貨スワップは難しいとしても、韓日通貨スワップ程度は復元して最後の安全弁を用意しなければいけない。しかし危機意識がないというのがさらに大きな危機だ。》

 蟻地獄に堕ちた韓国経済。ずぶずぶと砂の底に沈んでいくのを食い止めるには、通貨スワップという綱を日本に結ばせるしかない、との判断だ。しかし、これだけ日韓関係が悪化しているのだ。日本はスワップに応じるのだろうか。

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