「日本共産党」が党名変更しない理由 志位委員長が引き合いに出した“オウム”の名

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共産党の党名変更!?

 共産党は夏の参院選の32にある1人区を皮切りに「相互推薦・支援」体制を確立するよう訴えているが、立憲民主党幹部は「共産党がスタート台から共闘の行方を阻んでいる」と指摘し、こう続ける。

「自党候補を立てる選挙区で共産党の支援は欲しいが、別の選挙区で共産党候補をやみくもに支援することは避けたいのが本音。そもそも共産党を野党統一候補とすること自体、無理がある」

 つまり、衆院大阪12区補選で浮き彫りになった共産党の“片思い”は、今後も解消される余地がないというのである。

共産党に一筋の光明が差したのは、小沢氏率いる自由党が野党第二党の国民民主党と合併したことだ。共産党関係者が声を潜める。

「志位氏が、ここ数年ずっと精神安定剤としてきたのは、腕力で野党共闘の道を切り拓こうとしている小沢氏だ。政策やイデオロギーを度外視して共産党の票と数を取り込みたい小沢氏が国民民主党に入ったことで、局面が変わると党指導部も大いに期待している」

 共産党はまさに「小沢頼み」のようだが、頼られる小沢氏が他の野党に根差す共産党アレルギー払拭のための「ウルトラC」として思い描いているのが、共産党の党名変更だという。

「『(党の)名前も変えろ。そうすれば野党第一党になる』と一生懸命おだてているが、まだ踏み出せない」

 小沢氏は2月11日、東京都内で開かれた自身が主宰する政治塾の講義で、共産党に関してしびれを切らすように述べた。

 共産党関係者によれば、小沢氏はその後も機会があるごとに志位氏に党名変更を進言しているというから本気である。

 共産党はここ十数年、「暴力革命」政党のイメージを払拭するために「柔軟路線」のアピールに余念がない。2016年以降は天皇陛下ご臨席の通常国会開会式にも出席している。

 しかし現在も、警察や公安の監視対象になっていることは紛れもない事実だ。地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教や、朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)などとともに破壊活動防止法(破防法)の調査対象団体になっている。

 2016年3月には安倍内閣が、共産党について無所属(現自民党)の鈴木貴子衆院議員の質問主意書に対し「警察庁としては『いわゆる敵の出方論』に立った『暴力革命の方針』に変更はないものと認識している」との答弁を閣議決定した。

 公安調査庁が今年1月に発表した2019年度版「内外情勢の回顧と展望」でも、国内情勢の部門で共産党は「オウム真理教」「過激派」「右翼団体など」と並べて動向が追われている。

 ゆえに時代錯誤の「共産主義社会実現」に国民の拒否反応が根強いのは言うまでもない。今後「穏やかな革命」路線を希求し続けるにしても、「共産党」を名乗り続ければマイナスイメージは拭えないだろう。

 現に冷戦崩壊後の欧州では共産党が党名を改め、現実路線に転じて国民政党に脱皮した例が多々ある。イタリアでは91年に共産党から装いを新たにした「左翼民主党」が後に政権奪取に成功した。

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