「地雷夫」の恐怖! 突然キレる、経済DV、アルコール依存…優しかった彼はなぜ壊れたのか

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お前が浪費しているから

 お宮参りのときのこと。

 赤ん坊を連れて夫婦で電車に乗ったのはこれがはじめてだったと思う。その当時住んでいたのはターミナル駅だったので、ホームには常に大勢の人がいた。休日ならなおさらだ。それなのに彼は生まれたばかりの赤ん坊を乗せたベビーカーをものすごい勢いで押し、ホームの人混みに突っ込んで行った。

「危ない、やめてー‼‼」

 全く予想もしなかった事態に、一瞬でパニックになった。頭は真っ白で、反射的に叫ぶことしかできない。

 さてどうなったか。これを読んでくださっている皆さんにはそろそろ予想がつくのではないだろうか。

 激怒である。

「人前で恥をかかせやがって」である。

 お宮参りに行く途中なのに、地元の駅のホームでなじられ続けた。この頃にはもう私が泣くくらいでは彼の怒りが収まることはなく、過呼吸を起こしながら必死で1時間の電車移動に耐えた。「気持ち悪いからいい加減にしろ」と言われたような気がする。

 変わらないどころかエスカレートし、生まれた後はより家庭内の揉め事が増えた。子供の安全に関わることだと口を出さないわけにもいかないからだ。

 同時に他の問題が表面化していく。そのひとつが家計のことだ。

 前回書いた通り、妊娠は私にとっては予定外であり、けれど夫が望むならと応じた結果だった。退職届を出してから妊娠に気付いたので、転職もできずに退職し、私には収入の一切がなくなった。それでも「なんとかなる」とたかをくくっていたのは、どちらの実家も都内に持ち家があり、まあまあ余裕があったからだ。

 とはいえ結婚式をして、妊娠中に賃貸の家を引き払い、月々の家賃の支払いが安くなるよう郊外に分譲マンションを買って引っ越し、今までは私が一人暮らしで使っていた家具家電に少し買い足しただけのDINKS仕様のものをファミリータイプに買い換えるのはかなりの出費である。

 ところが気付くと、結婚式こそ折半したが、他はマンション購入時の事務手数料までも全て私が出していた。

 なぜそうなったか。

「俺が働く。お前は働かなくてもいいから、家計が足りない分だけどうにかしてくれ」と、主婦という名の下に家計を任されていたからだ。

 彼一人の収入では引越し前は家賃と彼が月々使う額くらいにしかならないのに、いくらそれを説明しても、無視されるか怒りながら「お前が浪費しているから」と言って節約するよう求められるだけ。そうじゃなくても日々怒り狂っている彼を刺激しないよう言われるまま家計の赤字を補填するうち産後1年もせずにその額は数百万に膨らんでいき、私はすっからかんになった。

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