緊急取調室、特捜9、科捜研の女…絶好調!テレ朝“春ドラマ”が抱える2つの難題

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 春クールドラマの序盤を評価する各種指標が出そろった。

 キー5局のGP帯ドラマ14本を比べると、世帯視聴率と満足度でトップだったのはテレビ朝日。平成の30年間は、広告取引の通貨として世帯視聴率が使われていたので、テレビビジネスとしては最高のスタートと言える。さらに満足度でもトップゆえ、質量ともに最優秀となっている。

 ただし、49歳以下の個人視聴率、ツイート数、検索数では4位に甘んじた。広告主が重視する若年層には、あまり見られていないのが問題だ。またネット上での話題性にも欠けている。春ドラマの序盤から、同局の強さと課題を検証する。(文/鈴木祐司)

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安定の世帯視聴率

 テレ朝春クールは、『特捜9』『緊急取調室』『科捜研の女』の3本。

 世帯視聴率は、『特捜9』が3話までの平均で13.1%。『緊急取調室』は3話平均13.7%。『科捜研の女』が2話で13.0%。3ドラマとも13%台は同局だけの快挙だ。

 しかもこれらのドラマは、お昼の再放送で8~9%台をとり、ドラマ部門のベスト10入りを果たすこともある。安定した数字は、他局を圧倒している。

 同局ドラマの特徴は、特定ジャンルへの特化とシリーズ化。今回の3ドラマも全て刑事モノ。しかもシリーズ化したものばかりとなっている。

『特捜9』の前身は、season12まで続いた渡瀬恒彦主演『警視庁捜査一課9係』。井ノ原快彦もseason1から出演していたが、渡瀬が亡くなったために、去年から『特捜9』と改め、井ノ原が主役を引き継いでいる。いわば14 season目に入った物語と言える。

『緊急取調室』は、今回が3番目のSEASON。2014年のFIRST SEASON初回の視聴率は12.5%。17年春のSECOND SEASONは17.9%。そして今回の初回が15.2%。シリーズ化は明らかに軌道に乗った言えよう。

シリーズ化の本家本元は『科捜研の女』。1999年が初放送で、その後は1年に1クールごと積み上げてきた。視聴率はSeason3から安定の二桁となり、11年目となるシーズン11からは、2年ごとに2クール連続の放送が増えるなど、存在感を増してきた。そして今期のSeason19。『科捜研の女』が始まって20周年目となり、さらに『テレビ朝日開局60周年記念』ということもあり、1年間の放送となった。初回13.7%・2話12.3%は、堂々たる船出だ。

 3ドラマの初回視聴率は、15.2%・15.2%・13.7%と盤石。実は3ドラマとも、初回放送前1週間で9~10回ほど、それまでのシリーズの再放送を昼間に流している。近年はドラマの主人公を、夜のバラエティなどに出演させ、新ドラマ初回の番宣をするのが一般的になっていた。ところが同局は、これらに加えて再放送を大量に流すことで、初回視聴率で断トツの成績を獲り続けている。

 刑事モノ・ミステリーものへの特化、シリーズ化、大量の再放送の3つが、同局勝利の方程式として定着したと言えそうだ。

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