東京五輪で最もメダルが期待できる競技「競歩」で日本新記録

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 東京五輪クイズです。

 陸上競技で最もメダルが期待できるのは何でしょう。

 マラソン? 400メートルリレー? いえいえ、答えは“競歩”。あの、ちょっぴりユーモラスな動きでスタスタ歩くやつです。

 競歩には20キロと50キロがあるのをご存知ですか。素人目には単に距離が違うだけに思えますが、

「実は、まったく違う種目と言っても過言ではありません」(大手紙陸上記者)

 なるほど。短距離走では100メートルと200メートルを同時エントリーする選手は珍しくありませんし、ハーフマラソンとマラソンも然りです。でも、競歩の20キロと50キロはそうはいかないようなんです。

「20キロは、短距離走のようにスピードを競う競技。一方、50キロは駆け引きやスタミナ、最後は根性で勝負が決まる。極端な話、100メートル走とマラソンくらい違います」

 ところが、そんな競歩界に激震が走ったのです。

 日本選手権50キロ競歩が14日行われ、鈴木雄介(31)が3時間39分07秒の日本新記録で初優勝しました。この鈴木、実は20キロで1時間16分36秒の世界記録保持者なのです。ボルトが東京マラソンで優勝したようなもの、と言ってはさすがに言い過ぎでしょうか。

 そりゃあ、相手がド素人ならありうるかもしれませんよ。でも、日本は50キロも強いんです。エースの荒井広宙(ひろおき)(30)は17年世界選手権で銀メダル、16年リオ五輪で銅メダルを獲得しています。

 今回、鈴木は荒井ら国内三傑をも破ったのです。

「荒井はゴール後、“50キロの常識が覆された”とショックを受けていました」

 さて、優勝した鈴木は、今秋開催される世界選手権ドーハ大会の出場権を獲得しました。ところが、

「“出ないかも”と言うんです。理由は、レースが行われる時間帯です」

 東京五輪の競歩50キロは朝5時半スタートに決まりましたが、それより暑いドーハでは夜11時半にスタートするのです。海外では時差を調整するだけでも大変なのに、更に“夜に歩く”というギャップ。

「鈴木が言うには“夜中に4時間近く歩くなんて人間のリズムには絶対にそぐわない。凄いダメージが残る。夜中でもドーハは暑いし、日差しなど東京五輪の想定にはならないレース。なので、ドーハでの経験は東京には生きない”と」

 とにもかくにも鈴木選手、東京五輪金メダル目指して突っ走れ、もとい歩け歩け。

週刊新潮 2019年4月25日号掲載

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