迷宮入りの「悪魔の詩」訳者殺人、問題にされた2つのポイント【平成の怪事件簿】

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 ひとけのない夏休みのキャンパスで発見されたのは、喉を切られた死体だった。それはイスラム式の「処刑」だった。「悪魔の詩訳者殺人事件」は、平成を代表する迷宮入り事件のひとつである。(駒村吉重 ノンフィクション・ライター)

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 イランの最高指導者ホメイニ師が、イスラムを冒涜したとして英国人著者に死刑を宣告した話題の小説『悪魔の詩』の日本語版出版は、その滑り出しから波乱含みとなった。

 翻訳者である五十嵐一筑波大学助教授、イタリア人の出版者パルマ・ジャンニ氏らが、東京都内の日本外国特派員協会で開かれた出版記念記者会見に臨んだのは、平成2年2月だった。...

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