平成のドラマを変えた3本といえば……ヒントは朝ドラ、クドカン、仲間由紀恵

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 平成の世をTVドラマで振り返れ。ベスト10も作るのだ──。

 そういう指令をデイリー新潮編集部からもらったのは2018年の暮れのこと。年末のドタバタの中、気軽に二つ返事で引き受けたのはいいとして、年が明けてから頭を抱えました。まずは平成の30年間に放送されたドラマの総数をチェックしてみたところ、単発から大河まで、朝ドラから深夜枠まで、子供向け特撮から年寄り向け時代劇まで含めると、推計でも7000本以上あったもんでね。

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 この数字、連ドラの1話を1本と数えるんじゃなく、たとえば全11話の連ドラを1本と数えるやり方でカウントしたもの(ただし、17シーズンある「相棒」は17本とカウント)。これ全部を対象にはできないわ、とあっさりあきらめ、「大人向け」「連ドラ」という2つの条件で絞り込んでも、まだ2000本はある。

 じゃあ視聴率のトップ10を調べ、それぞれについて語るかね、と方向転換しようとしたら、朝ドラを除いたトップ10の顔ぶれは、こんな具合……。

【1】「半沢直樹」[2013年/TBS系]42.2%
【2】「ビューティフルライフ」[2000年/TBS系]41.3%
【3】「家政婦のミタ」[2011年/日テレ系]40.0%
【4】「ひとつ屋根の下」[1993年/フジ系 ]37.8%
【5】「GOOD LUCK!!」[2003年/TBS系]37.6%
【6】「家なき子」[1994年/日テレ系]37.2%
【7】「HERO」[2001年/フジ系]36.8%
【8】「101回目のプロポーズ」[1991年/フジ系]36.7%
【8】「ロングバケーション」[1996年/フジ系]36.7%
【10】「GTO」[1998年/フジ系]35.7%

※各作品のうち視聴率(ビデオリサーチ調べ:関東地区)が最も高かった回のランキング。以下同様。

 ……いや正直、語りたいことのない作品、語る必要のない作品ばっかり揃っちゃってて、ダメだこりゃ。

 それから3カ月、あれやこれやの試行錯誤を重ねた結果、元号またぎの大連休を前にしてようやく、ワタシなりの平成ベスト連ドラが固まりました。「平成の世を生んだ3本」「平成の世が生んだ3本」などなど、部門を区切って選んだ濃い平成ドラマの数々をご紹介……。

やはりNHKは強かった

 まず皆様に思い出してほしいのは「平成のドラマを変えた3本」編。

●「ふたりっ子」[1996~97年/NHK]31.9%

 いきなり“国営放送”物件、いきなり“朝ドラ”で恐縮ながら、「おしん」(1983年)に代表されるような名もなく貧しく美しく路線、いや、辛気臭く古臭く説教臭く路線の「連続テレビ小説」をいったん徹底的にブチ壊した歴史的な作品です。枠組みはコメディー、舞台は現代、主人公は双子、その父親は不倫して家出、その不倫相手の演歌歌手(オーロラ輝子)がドラマの外の現実世界で人気になって紅白にも出場……と、まぁやりたい放題。

 あのなんでもあり具合は、「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」「ムー」「ムー一族」あたりの昭和な久世光彦モノのTBSドラマからの本歌取りながら、「ふたりっ子」放送当時のニッポンは、やがて山一倒産・拓銀破綻へと至る金融不況のまっただなか。バブル崩壊で民放の勢いが落ちてく一方で、受信料=放送血税に支えられるNHKのほうが攻めた番組作りをやれるという、放送ギョーカイの官民逆転の始まりとしても記憶されるべき作品です。

 ワタシは今、「チコちゃんに叱られる」(NHK)のうるさい画面を眼にし、キィキィ声の関西弁を耳にするたび、溜息ついます。「ふたりっ子」の茉奈・佳奈はかわいくて楽しかったのになぁ、と。

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