有休を取り家で仕事、ヤミ出勤にヤミ残業… 「働き方改革」という時短ハラスメント

社会週刊新潮 2019年4月11日号掲載

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「働き方改革」が国を滅ぼす(1/2)

 快適に働けるに越したことはないが、安倍総理がしたり顔で進める働き方改革には、顔を曇らせる人が多い。そりゃそうだ。仕事量はそのままに残業を減らせば、だれかにしわ寄せが。人一倍の努力も拒まれればスキルも身につかない。その先には亡国の悲劇が……。

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「改革には痛みが伴う」とは、小泉純一郎元総理にかぎらず、古今東西の指導者が言い続けてきた。むろん、4月1日から順次施行されていく働き方改革関連法についても、これを政権の目玉政策の一つに掲げてきた安倍晋三総理は、同様に認識しているのではないだろうか。だが、問題はどんな痛みなのか、である。

 ご承知の通り、各企業はすでに残業時間の削減に取り組んでおり、周囲に何社かの大手企業がある飲食店の店主は、

「これまで夜食を食べに来てくれていた人たちが、仕事が早く終わって家に帰るので、商売にならない」

 と嘆くのである。もっとも、早く帰宅するようになった人たちは、生活に余裕が生まれたかというと、聞こえてくるのは、

「始発で出勤する日が増えたので、むしろ体力的にキツイです」(情報系企業に勤める30代男性)

「仕事をする場所が会社から家に移っただけ。家に仕事を持ち込まざるをえなくなって、リラックスできる場所がなくなった」(大手メーカー勤務の40代男性)

 といった声である。どうやら“痛み”は、すでに厄介な広がりを見せているようだが、そこは少しずつ検証するとして、ここで、くだんの法の骨子を簡単に説明しておく。

 まずは残業時間の規制である。これまでは事実上の青天井だったが、原則月45時間、年360時間までとし、最長でも月100時間未満、2~6カ月平均で月80時間などと、上限を設けた。そして守らないと、企業側に6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるのだ。

 正社員と非正規社員の間での、同一労働同一賃金の実現も謳われた。年次有給休暇も、最低でも5日以上取得させることが企業に義務づけられる。達成できなければ、企業は従業員1人当たり、最大30万円の罰金を支払わなければならない。さらには努力義務だが、退社から翌日の出社まで一定時間の勤務間インターバルを設けるとされている。

 ただし、残業時間や同一賃金については、中小企業には1年間の準備期間が与えられている。

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