“令和は国書から初選出”に「昭和天皇」歌の指南役が異議 安倍首相の拘りが…

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〈初春の令月にして、気淑(よ)く風和らぎ〉

 日本最古の歌集『万葉集』巻五の序文を典拠とする「令和」。日本の古典から初選出と政府は喧伝するが、

「歌の大和ことばでなく、漢詩的な表現から取られているので、その点では今までと変わらない気もします」

 と、昭和天皇の作歌指南役も務めた国学院大学名誉教授の岡野弘彦氏(94)は総理の本懐に異を唱える。

「あの頃は中国の漢詩、漢文に憧れがある時代。西洋にかぶれるのと一緒です。大宰府(序文に続く歌が詠まれた場所)は当時、大陸から漢学が入ってくる場所でした。あの序自体には、そんなに深く読み解くべきものはない。書いた人間が外来文化が好きで、自己満足みたいな表現ですから。(新元号を選ぶにあたって日本の古典に)拠り所が欲しかったんでしょうけど、うーん」

 新元号の考案者は国際日本文化研究センター名誉教授の中西進氏でほぼ確定だ。なぜ首相は日本の古典、特に万葉集に拘ったのか。政治部デスクは、首相と公私に亘って関係の深い笹川陽平日本財団会長の存在を挙げる。

「笹川さんはかねて、新元号は日本の古典に典拠を持つべきと訴えていた。愛読書の一つが万葉集なんです」

 実際、笹川会長は、

「私が発言していたように中国の古典からではなく、日本の古典から選ばれたことは初めてのことであり、喜んでいます。新元号が国民に広く愛されることを願っております」

 だが先の岡野氏によると、

「『令』という字からは、どうしても冷たい印象を受けます」

 無理が通れば、道理が引っ込む?

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