鬼畜親の虐待事件、原因は「親の劣化」――家庭のしつけを法規制の愚

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

ガンコ親父とゲンコツ

 要は、「いまの親は放っておけば虐待に走ってしまう」と断じられたも同然。加減を知らぬ愚かな親が増え、法で縛らないと子どもの命を守れないとは世も末だ。日本はいつからこんな情けない国になったのか。前出の唐沢氏が慨嘆する。

「このまま“ガンコ親父”と“ゲンコツ”が過去の遺物になってしまうと、子どもたちの未来がますます不安です。弱い者いじめや殺人は決して許されないという社会のルールは、幼少期から問答無用で叩き込む必要がある。それなのに法律によって親が手足を縛られたら、これまで以上に子どもへの関わりをためらうようになるでしょう。戦後の日本では一貫して家族の絆が崩壊し続けてきましたが、今回の法改正でトドメを刺された気すらします」

 元航空自衛隊空将の織田(おりた)邦男・東洋学園大学客員教授も、今回の法改正に異論を唱える。

「女児が犠牲となった虐待事件における父親の行為は、自らの鬱憤を晴らし、憎しみをぶつけるためだけの暴力です。しつけの域を大きく逸脱していることは疑いようがありません。ただ、法律によって家庭内での体罰を一律に禁じることには首を傾げざるを得ない。このご時世、体罰を禁止すれば世論の支持も集めやすいとは思います。しかし、重要なのは、法改正が本当に子どものためになるのかということです」

(2)へつづく

週刊新潮 2019年4月4日号掲載

特集「『頭をコツン』『お尻をパチン』で懲役1年か? 家庭のしつけを法規制という暗愚」より

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。