ドキュメンタリー系番組のナレーターに“俳優”や“芸人”が大人気 そのワケは?

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マンネリからの脱却が目的

「ドキュメント72時間」(NHK総合)は当初、石田ひかり、吹石一恵、鈴木杏の3人のローテーションだったが、現在は上記以外にも様々な俳優やミュージシャンアドがナレーションを務める。

「SONGS」(NHK総合)は番組の顔として昨年より大泉洋が就任しているが、ナレーションには同じTEAM NACSの戸次重幸というコンビ芸が楽しめる。

「ブラタモリ」(NHK総合)では、SMAP解散前から草なぎがナレーターを担当。

「サラメシ」(NHK総合)では中井貴一の明るい声が聞こえるが、更にハッチャケているのが「もふもふモフモフ」(NHK総合)で犬や猫を代弁している堤真一で、これはもはや声優の域。

 渡辺徹は、NHK Eテレでの活躍が目立つ。この他にも幼児向け同局の自然ドキュメント「しぜんとあそぼ」のナレーターでもある。

「世界遺産 THE WORLD HERITAGE」(TBS)は前々番組の「世界遺産」の頃より、緒形直人や寺尾聰、鈴木京香、藤原竜也(特別編として高倉健も務めたことがある)など俳優中心の起陣容だ。

「人生の楽園」(テレ朝)はいかりや長介のナレーションでスタートしたが、現在は西やんの他に菊池桃子も担当する。

 すでに放送1万回も突破した「世界の車窓から」(テレ朝)は87年の第1回から一貫して石丸謙二郎がナレーションを担当。

「世界の街道をゆく」(テレ朝)はスタート時より坂東三津五郎が担当していたが、死去により一時はナレーターの広中雅志に移るが、現在は息子である巳之助が引き継いでいる。

 小林薫が提供スポンサーまで読み上げる「美の巨人たち」(テレ東)には蒼井優が加わり、その後、神田沙也加に交代し、現在は2人体制となっている。

「ガイアの夜明け」(テレ東)では番組の要所要所で案内人として江口洋介(先代は役所広司)が登場するが、初代ナレーターは蟹江敬三。彼の闘病と死去により、高橋克実、寺脇康文、古谷一行など様々な俳優が代役を務めたが、正式に2代目として杉本哲太が就任している。

 バラエティまで含めると、「鶴瓶の家族に乾杯」(NHK総合)の本編は久米明だが、コーナーナレーションは常盤貴子が務めている。「もしもツアーズ」(フジ)の柳原可奈子だっている。

「最近はお笑い芸人も多く起用されています。草分けは、NHKのドキュメンタリー番組『沸騰都市』での、雨上がり決死隊の宮迫博之かもしれません。元々役者としての評価も高い人ですが、NHKのスタッフが彼の映画を観て惚れ込んで起用したと言います。『マツコ&有吉の怒り新党』(テレ朝)の1コーナーだった“新・3大○○調査会”でナレーターだったのはナイツの塙宣之でした」(同・民放関係者)

 それにしても、なぜこんなに役者や芸人がナレーターに起用されるのだろうか。

「俳優や女優は声がいいことが多いし、声だけでも感情の演技ができます。もちろん、普段からの演技力が物を言うわけですから、誰でもいいというわけではない。それがハマれば、役者にとっても番組にとっても、話題となり箔が付くわけです。それが芸人にも広がっていったのでしょう。番組側も話題作りとして、芸人をナレーターに使うことがあります。『○○が初のナレーション』というだけで、番組がメディアで紹介されますから。それと、かつての本職のナレーターのほうがマンネリ化したこともあるでしょう。“ドキュメントと言えば誰々”という固定観念から脱却したいという考えもあったと思います。プロのナレーターの方だと、番組のイメージがつきすぎて、別の番組を作っても『○○の番組みたい』と言われることがよくありましたから」(同・民放関係者)

 ご存知「チコちゃんに叱られる」(NHK総合)での、チコちゃんの声は芸人の木村祐一だが、ボイスチェンジャーで声質を変えている。マンネリ化の脱却には、そんな手法もアリか?

週刊新潮WEB取材班

2019年3月25日掲載

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