親日国「パラオ」に中国化の危機、“観光支援”を(KAZUYA)

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 歴史問題で何かと上手くいかない日韓関係。

 一方で、朝鮮半島と同様にかつて日本の統治を体験しながらも、台湾やパラオは親日的です。

 実態はどうなのかと、今回初めてパラオに来て原稿を書いています。

 パラオは第1次世界大戦の後に委任統治領として日本が統治し、学校や病院を作るなどインフラ整備を行い、発展していきました。敗戦後に日本は引き上げますが、その後も日本統治時代は良かったと達者な日本語で懐かしむパラオ人は多いようです。日本語由来の言葉も多く、「ヤキュウ(野球)」「チチバンド(ブラジャー)」などバラエティーに富んでいます。

 そんなパラオは台湾と国交を結ぶ数少ない国の一つでもあります。しかし現在中国によって揺さぶられているのです。

 数年前から中国人観光客が増え、中国資本のホテル建設などが盛んでした。ところが中国は一昨年、パラオへの観光ツアーを事実上禁止にしているのです。国交がないパラオは「違法な旅行先」だという訳です。パラオは人口2万人程度の国で、観光は重要な産業ですから影響が大きいのです。

 誰の目にも明らかですが、パラオに対して台湾との国交関係を断って中国側に付けと経済的圧力をかけているのです。中国資本はパラオの土地をリースで取得しています。パラオでは外国人の土地所有は認められないため、リースという形になりますが、99年という長い期間ですし、観光ツアーの事実上の中止を受けて開発がストップしました。手付金だけ払って後は知らんぷりの場合もあるようで、放置状態の土地になっています。なんてタチの悪いことか。

 現地で聞いたところによると、現在のレメンゲサウ大統領は台湾との関係を維持する方向ですが、やはり中国の息がかかった議員もいるようで、今後はどうなるかわからないとのこと。

 日本は影響力を増す中国に対抗するため、「自由で開かれたインド太平洋構想」を立ち上げ、各国に協力を求めています。その流れの中で重要なのがまさにパラオで、ここ数カ月だけでも鈴木外務大臣政務官や薗浦内閣総理大臣補佐官が省庁の関係者と共にパラオを訪問しています。

 さらに日本政府は3月にレメンゲサウ大統領を日本に招き、天皇陛下との会見、安倍総理との首脳会談等が行われました。

 歴史的にも繋がりが深く友好的なパラオですから、中国になびかせないようにしっかり日本として出来ることをやるべきです。もうすでに多岐にわたるインフラなどで相当な支援をしていますから、これは継続するべきです。

 民間レベルでは観光に行くのがいいでしょう。パラオ人も本音では中国人より日本人に来てもらいたいのです。日本語を学んだ世代はもうほぼ亡くなる時代ですから、新たな交流が重要になってきます。

 ネックは直行便がないことでしょう。現在某社が直行便を調整中との噂もありますから、なるべく早くお願いします。

KAZUYA
1988年生まれ、北海道出身。12年、YouTubeで「KAZUYA Channel」を開設し、政治や安全保障に関する話題をほぼ毎日投稿。チャンネル登録者61万人、総視聴数は1億4千万回を超える。近著に『日本人が知っておくべき「日本国憲法」の話』(KKベストセラーズ)

週刊新潮 2019年3月21日号掲載

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