山口紗弥加、北川景子、竹内結子… 合い言葉は「正義」の1月期ドラマ 立役者は「変な女」たち

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各ドラマに流れる多様な「正義」と、立役者の「変な女」たち

 振り返ってみると、1月期ドラマの半数は「正義の多様性」を問いかけているようにも思う。TBS「グッドワイフ」は弁護士ドラマだし、同じく弁護士ドラマのフジ「QUEEN」、日テレ「家売るオンナの逆襲」は、あの手この手で目的を遂行する、ひとクセある女性が主役だ。男でのし上がる道を選ぶのはフジ「後妻業」、そして日テレ「3年A組」の今田美桜演じる諏訪。NHK「トクサツガガガ」や日テレ「人生が楽しくなる幸せの法則」、TBS「初めて恋をした日に読む話」は、「あるべき女性像」「母親が望む娘」に四苦八苦するヒロインが描かれる。

 面白いのは「3年A組」をのぞき、女性が主役ということだ。「オンナ」「ワイフ」「QUEEN」と、女性ならではのタイトルも多い。視聴者層に女性が多いから女性主人公で、という計算もあるだろう。また、MeToo問題や様々なハラスメント、NGT48の暴行事件。そして有村藍里を追いつめたSNSの中傷など、女性に対する問題がクローズアップされている時代性もある。多様な「正義」を描くには、女性主人公の方が描きやすいのかもしれない。

 働き方、容姿、恋愛、学歴、結婚、趣味、そして人生。すべての人に通じる正解はないし、誰かの正解を押し付けるのも押し付けられるのもまっぴら。そう信じて生きるのだって「正義」じゃない?と、世間に蔓延する息苦しい「正義」に対して、一風変わったヒロインたちを通じて伝えようとしているのではないか。

 ドラマも終盤に差し掛かると、視聴率によって「戦犯」が選ばれ批判される。多くは主役を張る俳優だが、相手役や脚本家がやり玉に挙がることもある。視聴率の悪いドラマには必ず犯人がいるものだ、という「正義」のドラマ界で、世間に風穴を開けようとした「イヤな女」・「変な女」を演じた女優たちには拍手を送りたい。

 法律のように、守るべき正義ももちろんある。でも、「こう生きるべき」という自分の「正義」は、他人にとっての「正義」ではないかもしれないことに心を寄せること。それがこれからの「正義」になると言い切るのは野暮だが、いずれにせよたいそう難しいことを正面から問われる時代になってきたと、各局ドラマを見て感じている。間もなく新元号が発表となる。「正義」はさすがに無いにしろ、「義」という漢字は使われるかもしれない。

(冨士海ネコ)

2019年3月16日掲載

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