間違いだらけの「がん検診」 40歳からの「肺」「大腸」「胃」正しい受け方を検証

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胃がんはバリウムより内視鏡

 次の「胃がん」は、98年に肺がんに取って代わられるまで、長らく部位別死因の首位にあった病である。

 国立病院機構函館病院の加藤元嗣院長が言う。

「検診で行なわれるバリウムや内視鏡検査は、身体への負担が大きい。それよりも胃がんの99%はピロリ菌の感染が原因なので、まずは採尿や採便、採血でピロリ菌の有無をチェックすることが重要です。この検査は中学生から始めるのが望ましく、実際に現在、中学生を対象としたピロリ菌検診が全国的に広まりつつあります。佐賀県は県レベルで、北海道は半数の自治体で実施されています」

 もっとも、菌を除去しても万全というわけではなく、

「ピロリ菌の感染歴がある人は、除菌をしても胃がんのリスクがあります。その場合、1年に1度の内視鏡検査をお勧めします。反対に、過去にピロリ菌の感染歴がない人は胃がんになる可能性が低いので、通常は2~3年に1度の検査でも大丈夫です」

 とは、前出の近藤院長。その一方で、バリウムを用いたX線検査については、

「バリウム検査と内視鏡検査を選べるのなら、後者をお勧めします。バリウム検査は粘膜の下に潜るように広がる悪性のスキルス胃がんの発見に有効だとの説もありますが、正確なデータはなく、スキルス胃がんの罹患率は不慮の事故で亡くなる確率の数分の1以下。反対に、内視鏡には食道まで詳細に観察できるメリットがある。早期食道がんの85%が胃カメラで見つかっているのに対し、バリウム検査では11・2%でしかないのです」(同)

(3)へつづく

週刊新潮 2019年3月7日号掲載

特集「年齢・部位別に検証! 間違いだらけの『がん検診』」より

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