福島のご当地ヒーロー「ダルライザー」が映画化 “主演俳優”が語る撮影秘話

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ご当地キャラがヒーロー映画に

和知:11年には東日本大震災に遭い、警察や自衛隊、消防の方々の活躍を見るつけ、自分が作ったヒーローに疑問が湧いたんです。活躍らしいことは、なにもしていないわけですからね。また、2050年頃には日本の人口が減って1億人を切るとされ、地方の自治体には成り立たないところも出てくるといった講演を聴いたこともあって、地方をもっと活性化するためにダルライザーが使えるのではないか、と思い始めたんです。ヒーローショーだけでは、僕の思いはなかなか広まらない。ならば映画、それも地元市民をキャストにしてできないかと考えました。

――だが、映画の撮影はそう簡単にできるものではなかった。

和知:ひと月半もあれば撮れると思ったんですけどね。なにせ出演者の多くが地元の一般人ですから、稽古もしなければいけない。12月に撮影を始めたんですが、その年は例年以上に雪が降って、場面が繋がらない。5月になると新緑が芽吹いて……天気待ちやスケジュール調整で、結局、撮影に半年もかかりました。

――黒澤明監督もびっくりの天気待ちである。しかもアクションは、派手さこそないものの実戦的で手抜き感がない、かなりの出来映えである。

和知:そこはヒーロー映画ですから、ちゃんとしたものを作りたかったんです。当時、僕は映画「バットマン ビギニンズ」(05)にはまっていまして、DVDにはメイキング映像とかあるでしょ。そこでKEYSI(ケイシ)というスペインの護身術を知ったんです。創始者はフスト・ディエゲスさんで、「ダークナイト」(08)や「アウトロー」(12)などにも採用されています。彼にメールで連絡を取ってみたんです。

――被災地FUKUSHIMAを知っていたというフスト氏、心が沈んだ人々を映画で立ち直らせたいという思いに賛同し、来日することになった。

和知:KEYSIを学びつつ、映画ではアクションの振り付けを担当してもらったんですが、出演陣を見て、「アマチュアで映画を撮る? ナメてるのか!」と怒られましたね。仕事を持つ市民たちが毎晩集まって稽古しました。

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