「常盤貴子」「竹内結子」「木村佳乃」 人気女優の冬ドラマはなぜパッとしないのか?

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いまだに主婦感「グッドワイフ」

 たとえば「グッドワイフ」(TBS系・日曜9時~)。いや、ドラマ単体として見りゃ、日曜の夜、TVで潰せる時間があって細かいことは気にしないってアナタには、とりあえずお薦めできる水準の作品なんですよ。少なくとも脚本・演出はTBS「日曜劇場」クオリティで、実際、視聴率も好調とは言えないまでも平均すりゃ9%台。他の2本みたいに5%台に落ち込む回があったりはしない。

 ただ、引っかかる点は他にあって、それはキャスティング。陥れられて検事をクビになり不倫疑惑もある夫(唐沢寿明)に代わって家族を守り喰わすため、弁護士に復帰する専業主婦……というのが常盤貴子の役柄ながら、これがなかなかに厳しい。

 いや、おっとりした所作や軽め薄めな声は、第2話くらいまでは悪くなかったのよ。16年ぶりに法曹の実務に戻った主婦という設定に適合・符合してたからさ。でも、物語が進んで男社会で野郎どもと張り合わなきゃいけなくなった後、つまり、主婦芝居より弁護士芝居が増えた後も、常盤の演技はなかなか切り替わりきらない。事件に関わる大切な事実をすらすらよどみなく、しかし決してさらさらあっさりとではない具合に伝えるべき弁護士としてのセリフが、なんだかふわふわふわりと専業主婦方向に流れていっちゃうときがまだある。

 この「グッドワイフ」、アメリカで10年前に始まってシーズン7まで続いたヒット作の日本版リメイク。同じく米国産弁護士モノを国産化した「SUITS/スーツ」(フジ系/2018年)でも、主演に織田裕二とジャニーズの誰かを持ってくるキャスティングがトホホ過ぎて泣けたけれど、まぁ「グッドワイフ」の常盤はアレよりはるかにマシだとしても、ミスキャストには変わりない。

「グッドワイフ」日本版をつくるのなら常盤以外にもっとハマる女優はいたはずで、それは主婦より弁護士に見える女優。実際、オリジナルのUS版でも、日本より先にリメイクした韓国版でも、そういう女優が主演に据えられてた。ところがニッポン版は弁護士より主婦に見える女優。

 逆に言うなら、常盤貴子の主演作をつくるのなら「グッドワイフ」以外にもっとハマる企画があったはずで、それは少なくとも、1話ごとに変わる小悪役を退治し続け、全話通しで暗躍する大悪役と対峙し続けるようなハードな女弁護士の話じゃなかった。

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