「ゴーン」守護神交代 元特捜部長の「大鶴弁護士」を切った理由

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10人の精鋭

 一方、大鶴弁護士の方もかなりストレスが溜まっていたという。

 司法記者が続ける。

「寒いなか、ほぼ毎日のように東京拘置所に通っていました。そのうえ、ゴーンはフランスなどの大使館関係者と優先して面会するため、かなり長時間待たなければならなかったそうです。また、保釈請求をしたときも、居住地をフランスにすると言い張るゴーンに対し、“それではダメだ”と説得したのも大鶴さんだった。結局のところ、誰が弁護士になっても、保釈が取れないという結果は変わらなかったはずですが……」

 大鶴弁護士に代わって新たな守護神となったのが「無罪請負人」の異名を持つ弘中惇一郎弁護士(73)。

 実は、新旧2人の弁護士の間には、深い因縁があった。大鶴弁護士が検察を去るきっかけとなったのは、小沢一郎代議士の逮捕を狙った陸山会事件。その捜査手法をめぐって上層部と対立し、定年まで7年を残して退職することになるわけだが、小沢代議士の弁護についていたのが弘中弁護士だった。

 つまり、かつては敵と味方の間柄というわけだ。

 元東京地検特捜部副部長の若狭勝氏に聞くと、

「新たな弁護団は、10人の精鋭が揃っている。大鶴さんも力のある弁護士ですが、さすがにそこまではできなかった。そんな弁護団を組織できる弘中さんに代えたあたり、保釈さらには無罪を勝ち取ろうとするゴーンの強い意志を感じます。次に想定される保釈請求のタイミングは、第1回公判の後。その前に公判前整理手続きが行われるわけですが、精鋭10人で証拠の分析を素早く行い、公判を一日でも早く迎えようとするのではないでしょうか」

 果たして、守護神交代は吉と出るか凶と出るか。

週刊新潮 2019年2月28日号掲載

ワイド特集「栄光の代償」より

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