就活は本当に“売り手市場”? ルール廃止で激変する「就活戦線」の必勝戦略

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

“売り手市場”という幻想

〈さて、就活市場はいま“売り手市場”と言われている。リクルートワークス研究所によると、2019年卒の求人倍率は1.88倍。一般に1.6倍以上は“売り手”と言われるから、一見すると“売り手”になる。しかし――〉

 数字に惑わされてはいけません。業種別に求人倍率を見てみると、簡単に“売り手”“買い手”と言えないのです(グラフ参照)。

 たとえば、「製造」は2倍。人手不足と言われる「建設」は10倍、「流通」は13倍です。これらの業種はたしかに“売り手”です。

 一方、「金融」のそれは0.2倍しかありません。これは信金などを含めての数字ですから、完全に“買い手市場”です。広告などを含む「サービス・情報」も0.5倍と狭き門です。

 求人倍率は、企業規模によっても大きな差があります(グラフ参照)。従業員300人未満の中小企業は10倍ですが、5千人以上の大企業では0.4倍になってしまいます。

 今の学生の親の世代が就職活動をしていた頃は、ここまで業界間や規模で差はありませんでした。しかし、現在はこれだけの差がある。なので、その平均をとって“売り手市場”と言うことにあまり意味はありません。

“人手が足りない業界”や中小企業に就職するということであれば、たしかに今は超が付く売り手市場ですから、のんびり構えていても構いません。でも、人気業種や大企業に就職したい場合はそうはいきません。

 多くの親御さんやお子さんが希望されている企業は、相変わらずの“買い手市場”である、と肝に銘じていただきたいです。

次ページ:親世代とは異なる就活事情

前へ 1 2 3 4 次へ

[2/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。