安倍政権の「働き方改革」を叩くリベラルの本音 次なる課題は“金銭解雇”導入だ

社会週刊新潮 2019年2月7日号掲載

  • 共有
  • ブックマーク

『もっと言ってはいけない』著者が予見する「働き方改革」の残酷な未来――橘玲(2/2)

 国際的にはリベラルな労働政策である同一労働同一賃金を主導したのは「立憲主義を踏みにじる」安倍政権で、「リベラル」なはずの労働組合はその後追いをしているだけ――。作家の橘玲氏は、日本社会に存在する正規/非正規、親会社/子会社などの間の“格差”は、国際社会で受け入れられない「差別」であると喝破する。

 ***

 社会的な男女格差を示すジェンダーギャップ指数で日本は世界最底辺の110位だが、その原因は女性政治家がきわめて少ないことと、管理職以上の経営幹部の女性比率が低いことだ。そのため安倍政権は「指導的地位に占める女性」の割合を2020年までに3割に高める目標を掲げるが、「女性活躍」の旗をふる厚生労働省ですら課長・室長クラスのうち女性は8・0%、全省庁においては審議官以上の女性幹部は3・9%しかいない。ついでにいうと、安倍政権を批判する「リベラル」な新聞社・テレビ局でも役員以上の女性は数えるほどしかいない。

 男女雇用機会均等法が施行されて30年以上たち、あからさまな女性差別はさすがになくなった。それにもかかわらず日本の会社では、60歳時点では高卒男性の7割が課長以上になっているのに、大卒女性は2割強と半分にも満たないのが現状だ。

 なぜこんな奇妙なことが起こるかというと、日本の会社は残業できるかどうかで社員の昇進を決めているからだ。「そんなバカな!」というかもしれないが、就業時間を揃えると大卒女性は大卒男性と同じように昇進しており、「性差別」は消えてしまう。日本の会社は表面上は男女平等でも、江戸時代の「おイエ」と同じで、「滅私奉公」できない人間は出世できないのだ。

次ページ:定年制という「反リベラル」

前へ 1 2 3 次へ

[1/3ページ]