問題提起の作家が語る「大坂なおみ」アニメ問題 “人種差別の問題だとは思っていない”

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褐色の肌に負のイメージ?

 他方、あるスポーツ紙記者は、昨年9月の全米オープンで大坂がセレーナ・ウィリアムスを撃破した時のことを振り返る。

「オーストラリアの『ヘラルド・サン』紙に掲載された風刺漫画に大坂とセレーナが描かれました。審判に激怒しているセレーナは大きなゴリラのようで、その表現が人種差別的だとネットでSNSを中心に炎上したのです。対照的に、大坂は細身で金髪の女性として描かれており、それについても故意に大坂選手を“白人化”していると非難する声が上がっていました」

 つまり、日清は“教訓”に学んでいないというわけだ。

 最後に、評論家の呉智英氏はこう分析する。

「彼女の肌は褐色です。彼女はそのことを隠してはいないですし、隠す理由は何もない。それにもかかわらず、日清は彼女の肌を褐色ではなく、わざわざ白い肌の女性として描き、アニメのキャラクターとしてCM動画に登場させてしまったわけですよね。これでは、CM動画を観た消費者に、“日清は黒人を想起させる褐色の肌に負のイメージを持っているので、彼女のアニメ・キャラクターを白い肌に塗り替えてしまったのだ”と受け止められてしまっても仕方がありません。この点で、日清は不見識だったとしか言いようがないですよ」

 よしんば、大坂が優勝を逃していたなら、その際に“私はコート外の雑音とも闘わねばならなかった”とでも漏らしていたなら……。色白アニメ動画は新女王の全豪優勝に水を差しはしたが、それが悲劇とならずに済んだ。日清は、彼女のチャーミングな笑顔を多とすべきなのだろう。

週刊新潮 2019年2月7日号掲載

特集「全豪優勝に冷や水! 『大坂なおみ』色白アニメに怒った人々」より

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