「文在寅」と韓国国民を分断せよ――元駐韓大使が説く“反日政権”との付き合い方

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“慰安婦”と構図が同じ徴用工問題

 植民地支配は有効だったか無効だったか――。この問いは、1965年の日韓交渉の過程で終始議論してきた基本問題である。結果として双方が妥協し「もはや無効」という表現で決着させた。両国はその合意に基づいて50年以上協力を進めてきた。それを政権が代わった途端、十数人の左翼系裁判官によって一方的に“初めから無効だった”と断じられたのだ。これでは安定した外交関係は維持できない。

 元徴用工らはすでに14件約70社を被告として訴訟を起こしており、同様の判決が次々と出ている。また、新日鉄と三菱重工に対しては資産の差押え請求もなされた。韓国政府が認定した元徴用工は22万人と言われるが、朝鮮人の徴用開始は戦争末期になってからで、多くは自ら募集等に応じてきた人々であり徴用工ではない。そうした人々まで訴訟を起こせば、日本企業に甚大な損害を与え、日韓の経済関係は崩壊しかねない。

 65年の交渉の場では、個人に対する補償は韓国政府が行うと約束し、実際に補償も実施されたのだが、そういった事実は韓国メディアでほとんど報じられていない。むしろ元徴用工の苦労や悲しみに寄り添うべきとの情緒的な報道が多い。

 国民情緒を前面に出し、韓国独特の論理により国際法と条約の常識を逸脱して既成事実を作り上げ、日本の譲歩を迫る。この構図は慰安婦問題の時と全く同じである。そのため、韓国として妥協の余地がなくなり、ゴールポストを動かし続ける。これでは韓国政府が日韓関係に配慮した対応はできないのも当然である。

 それ以上に厄介なのは、文氏による反日的な言動は、日本への反発ではなく、彼自身の原理原則、政治信条に基づいていることだ。

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