日本語強要騒動の大坂なおみ 「カワイイ」アスリート像を望むメディアのズレ

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アスリートに必要なのは強さか、好感度か

 常にメディア映えを求められる女性アスリートたちは、美醜や愛嬌を取り沙汰されることも多い。しかしメイクや恋愛を気にすると「真剣さがない、浮ついている」と言われ、冷淡な様子を見せれば「塩対応」と総スカンを食う。もちろん成績が悪ければ悪いで批判される。本当に強靭な精神が必要な仕事であり、同じ女性としてこの風潮に疑問を感じることも多い。

 オリンピックで金メダルを獲るようなレベルのアスリートは、女性だろうとみな一様に気が強く、性格が悪いという話はよくある。といっても、そもそもアスリートは競技で結果を出すことが仕事だ。どんな人間性であるかは二の次だろう。団体競技で協調性などが求められることももちろんあるだろうが、それはあくまでも競技上で発揮すれば良いのであって、極端なことを言えばそれ以外の場所で「メディア映え」するキャラクターを見せる必要もないと思う。

 大坂に関して言えば、英語でのスピーチ内容を聞く限り、謙虚で素直なキュートな女性という印象だ。別に日本語で語らずとも、その人間像は多くの人に十分伝わっているのではないだろうか。日本語の方が親しみも好感度も増すのに、と考えている人たちがのもわからないでもない。でも、英語で堂々と取材陣に答える彼女の姿がは素敵だ、と私は思った。同じように感じる人も少なからずいると信じたい。

 強くて、英語が流暢で、背も高くておしゃれな女性アスリートが、そのままで「カワイイ」と言われる国であってほしいと願う。「こう見えて、シャイで、日本語を頑張って話すのがいじらしくて、日本の食べ物や漫画が大好きだなんて親しみやすいでしょ」という修飾がなくったって、彼女はとっても素晴らしいアスリートだってことに、変わりはないのだから。

(冨士海ネコ)

2019年2月3日掲載

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