“優勝候補”イランを3−0で撃破の日本代表 勝負の明暗を分けた2つのプレー

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日本代表にあった“余裕”

 アジアカップ UAE2019 の準決勝が1月28日にアルアインのハッザ・ビン・ザイードスタジアムで行われ、優勝候補筆頭のイランと対戦した日本は大迫勇也の2ゴールなどで3-0の完勝を収めた。これで2大会ぶりの決勝戦進出を果たした日本は、2月1日にUAEとカタールの勝者と最多5度目の優勝を賭けて戦うことになった。

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 今大会のイランは準決勝までの5試合をすべて完封勝利で勝ち上がってきた。得点は12、失点は0という数字が示すように、ロシアW杯のメンバー19人が残ったチームは円熟期を迎えたと言ってもいい。

 ところが試合は、いざ始まってみると、これまでは日本が終始圧倒される展開だったのに、イラン戦は五分五分、むしろ日本がボールを支配する時間が多かった。

 その理由は、これまでの対戦相手がジャイアント・キリング(大番狂わせ)を起こそうと、試合開始からハイプレスを仕掛けてきたからに他ならない。そこで日本は相手に付き合い“打ち合い”をするのではなく、消耗を避けるため守備重視のサッカーで内容より結果を優先した。

 ところがイランは“大人のサッカー”をしてくれた。このため日本にとって「ゲームがハマ」った。立ち上がりは両チームとも前線からプレスを掛け合ったことで、セイフティーにロングパスを多用。しかし試合は90分で終わらない可能性もある。そこでイランのカルロス・ケイロス監督がPK戦の可能性も含めて試合をマネジメントするのは当然だ。その結果、イランは10分を過ぎると自陣に引いてリトリートし、カウンター狙いに切り替えた。

 こうして日本は今大会で初めて余裕を持ってボールを回す「いつものスタイル」を取り戻したのである。そしてボールをロストするとすぐにボール保持者にプレスを掛け、前には運ばせない。この攻守の切り替えの速さこそ、日本の隠れた勝因である。

 日本のプレスの速さに仕方なくイランは自陣に戻して攻撃を組み立て直すものの、結局は前線のアズムンにロングボールを出すだけ。これは吉田麻也と冨安健洋の2人のCBがきっちり弾き返していた。

 そして勝負の明暗を分けたのは次の2つのプレーだった。まず前半22分、GK権田修一が遠藤航へ出したパスはスピードがなくデヤガにカットされるとショートカウンターを受け、アズムンが柴崎岳の股間を抜いてからシュート。これは辛くもGK権田が左足を伸ばしてCKに逃れた。

 権田はベトナム戦でも不用意なパスから決定機を許した。そのシーンを権田は「シンプルにボールを出さないといけなかった。連携ミスではなく互いに意思の疎通というだけ」と振り返ったが、もしもアズムンのゴールが決まっていれば違った展開になった可能性は大だ。いずれも権田自身がファインプレーでミスを帳消しにしたが、できれば二度と見たくないシーンである。

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