マンション値崩れ「不動産2019年問題」 カラクリに“中国人”

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税率が半分に

 この不動産会社社長によれば、“覚悟はあった”ようだが、中国人投資家たちはなぜ今年になってマンションを売りに出すのか。不動産業界に詳しいアナリストがいう。

「彼らが売却の検討を始めたのには、日本の税制が関係している。多くの場合、彼らが所有するマンションは日本の不動産販売会社などの名義になっていて、その会社が“納税義務者”になります」

 で、税制との関係は、

「不動産を売却すると所得税、住民税、そして37年までは東日本大震災の復興対策費用の原資に充てられる復興特別所得税が課税される。なかでも、所得税と住民税は不動産の所有期間により税率が大きく異なるのです」(同)

 ちなみに、復興特別所得税は、不動産の所有期間にかかわらず税率2.1%と定められている。

「不動産の所有期間が5年超だと税率は所得税15%、住民税5%の計20%。一方、5年以下は所得税30%、住民税9%の計39%で、税率はおよそ倍になります」

 中国人が投資目的で不動産の“爆買い”を本格的に始めたのは13年なので、5年経った今年からは税率が半分になる。そこで利益を確定したい彼らがマンションを売却することで、値崩れが予想されるわけだ。

 目下、都内では多数の高級大型マンションの建設が進行中だが、これまでのように“即日完売”とはいかないかも。しかし、斯界に詳しいアイビー総研の関大介代表は、

「マンションの購入を検討している人にはチャンスかもしれません。中国人が所有しているマンションは、大手デベロッパーが手掛けた物件が多く、設備などもしっかりしている。しかも、彼らはほとんど住んでいないので、中古物件といっても新築同然。条件があったら、購入を検討すべきでしょう」

 我々にとって、今年はマンション購入や買い替えの始まりの年になるかもしれない。

週刊新潮 2019年1月31日号掲載

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