FOCUSが捉えた「市原悦子さん」 女優40周年で“多彩な素顔”に密着

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【2月24日】
 夕方から、相模湖近くの神奈川県立「藤野芸術の家」で舞台稽古。昨年秋のオープンを記念して1月、2月に市原さんたちの芝居が出来上がるまでの過程を、無料で一般公開してきた。1日の本番を前に、25日が3度目の公開稽古。

 稽古が終わった10時半。食事のテーブルについた市原さんは、ビールでなくて、お茶。喉の状態が「ギリギリだから」。

【2月25日】
 10時から稽古。300人余りの観客を集め、1時半に開演。着物に網タイツ、ヒールの本番衣装とは異なるが、歌って踊って元気一杯。

「家へ帰って、這って歩いている」くらい疲れていても「ステージに立つと動いちゃう」「体を動かすのが好き。歌舞が好きなんです。見ていても、興奮するし」「お転婆でした。木登りするし、敏捷だった」。バレーボール、卓球、マラソン、走り高跳びとスポーツ万能の演劇少女は、俳優座養成所の体操の先生に「オリンピックへ行かないか」と誘われたほど。「芝居にひたって、つかって、おぼれて、毎日お芝居の稽古稽古」「25歳に急性膵臓炎で倒れ、20日間の入院。でも、代役を立てずに待っていてくれるという時、女優の責任感が出た。自分一人の体じゃない。全国で待っていてくれる人がいる、と」。

 視聴率30パーセントを超えるドラマの一方で、ハードな稽古を積み、小さな小屋で「これは仕事(営業)にならないもんね」に熱中するエネルギー。演じるのに「楽じゃない」と知りつつ、「つらい方へ行く。どうしたらいいかと思うと、できなさそうな方を選んでいる。自然とこーなっちゃう。好きなんですね」。

「秀吉」で、光秀の母を演じている野際陽子さんとは、生年月日がまったく一緒。20日のリハーサル中にも、「いつまで仕事するんだろうね」と二人で世間話……。 PHOTO 鴨志田孝一

週刊新潮WEB取材班

FOCUS 1996年3月6日号初出/2019年1月15日掲載

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