「早稲田vs.慶應」進学するならどっち? データに表れた“歴然の差”のワケ

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また早慶の人気が逆転?

 さて、人気の慶應のなかでも、現在の一番人気は、

「法学部政治学科です」

 と、『早稲田と慶應の研究』の著書があるライターのオバタカズユキ氏が言う。

「90年代まで、経済学部が一番人気でしたが、ここ10年ほど法学部の優位が続いています。今は医学部を除けば法学部の偏差値が一番高く、なかでも法律学科よりも政治学科が、単位取得がラクだと言われています。慶應生にはコスパを重視する傾向がありますね。慶應の学部間のヒエラルキーは、塾高(慶應義塾高校)からの内部進学先の人気と密接に関係していて、今は塾高内でも、法学部人気が経済を追い抜いています」

 たしかに、慶大経済は法学部にくらべて単位の取得が大変だ、という話は以前から伝わっていた。もちろん、慶大法学部が積極的に選ばれる理由もあって、

「16年から3年連続、慶應の司法試験合格実績が私立で一番というのも、人気の理由の一つでしょう。法曹界に進みたい人は、私立なら慶應に行こう、と考える人が多いはずです」

 とナガセの市村氏。18年の法科大学院別の司法試験結果を見ると、慶應の合格者が118人、合格率39・20%に対して、早稲田は110人、36・54%。その前年は慶應の144人、45・43%に対し、早稲田は102人、29・39%である。

 一方、いま早稲田が注目される点もある。市村氏が話を続ける。

「21年度入試から、早稲田の政経では数学が必須になります。具体的には、センター試験に代わる大学入学共通テストで外国語、国語、数学Ⅰ・A、選択科目を受験し、それが各25点。ほかに、日英両言語による長文を読んで答える学部の独自試験が70点、英語の外部検定試験が30点という配点になる予定です。数学が必須になると、私立専願の受験生は減るかもしれませんが、リスクを冒しても、数学が必要とされる社会の要請に応えていて、配点から英語重視もうかがえる。こうした思い切った改革は長い目で見れば、本物の人材の輩出につながります。一方の慶應は、21年からの入試改革に静観の構え。今後また早慶の人気が逆転することもあるかもしれません」

(2)へつづく

週刊新潮 2019年1月3・10日号掲載

特集「進学戦線に異状あり 最新カリキュラムからOBの就職先まで徹底比較 『早稲田大学』vs.『慶應大学』入学するならどっち?」より

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