「早稲田vs.慶應」進学するならどっち? データに表れた“歴然の差”のワケ

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

国立大志願者が併願しやすい

 21世紀になって、その傾向はさらに強まったようで、駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一氏は、

「06年以降、難関国立大の後期試験廃止が相次いだのが大きかった。併願先として従来以上に早慶が注目され、国立大志願者が併願しやすい慶應の人気がより高まったのだと思います」

 と語る。慶應が併願しやすい理由の一つを石原氏は、

「早稲田は2月20日くらいまで入試があり、すぐあとに旧帝大を受けるのは日程的にきつい。一方、入試日程が早い慶應なら、時間的に余裕があります」

 と話す。慶應は合否も国公立の2次試験前にわかるのだ。大学通信常務取締役の安田賢治氏が補う。

「ほかの私大は英語、国語、歴史などの選択科目の3科目で受験できますが、慶應の入試には小論文があって対策が必要です。そうやって労力をかけるうちに、慶應が第1志望になりやすい。また、慶應は小論文以外にも論述が多く、東大など国公立大の試験問題との親和性が高い。だから、国公立と併願しやすいのです」

 慶應の完勝のようだが、ナガセの市村氏は、こんなデータも示してくれる。

「旧七帝大合格者に絞って、18年度の早慶の併願状況を見ると、早慶両方を受けた人が32・9%。その人たちの各大学の合格率は、早稲田が67・9%で、慶應が72・8%。旧帝大の合格者でも早慶には7割ほどしか受からないのは驚きですが、加えて早稲田の合格率が5ポイントほど低い。ダブル合格者の多くが慶應に進んだとしても、このデータからは、早稲田のほうが難しいともいえます」

 冒頭に示したデータから想像されるほど、両校の難易度に開きはないようだ。

次ページ:慶應人気を支える“イメージ”

前へ 1 2 3 4 次へ

[2/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。