業者告白! 「私が『串カツ田中』更衣室に盗撮カメラを仕掛けた理由」

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「防犯目的」は詭弁

 A氏の依頼を断れなかった業者は、串カツ田中の3店舗の更衣室に「煙感知器型」の隠しカメラを取り付ける。ちなみに、盗撮が発覚したもう1店舗は別の業者が担当している。

 この「盗撮」行為についてはH社の女性社長も把握しており、実際に映像が見られたのは管理者である業者の他にはA氏と社長だけ。つまり、H社の社長と取締役は、自分の店で働くスタッフの着替えを常時、のぞき見できたことになる。

 その後、設置業者はA氏とトラブルになり、暴力まで振るわれたことから今回の告発に踏み切ったのだ。

 さて、すでに串カツ田中はこの業者が明かした「盗撮」の事実を全面的に認め、

〈被害に遭われた当該店舗の従業員の皆様には多大なる精神的苦痛とご迷惑をお掛けしたことに深くお詫び申し上げます〉

 と、謝罪するに至った。

 だが、本誌(「週刊新潮」)が取材に乗り出した当初、関係者の対応はとても潔いとは言えないものだった。カメラには写らなかった内幕を明かすと―。

 12月20日、まず本誌はA氏に隠しカメラの設置を依頼した理由を質したが、

「全然意味が分からないです。全く身に覚えがないんですけど。取材と言われても今日は忙しいし、明日はゴルフが入ってるんで」

 と疑惑を全否定した上で逃げの一手。続いて女性社長に尋ねると、

「盗撮? はぁ? ちゃんと取材してから記事を載せてください。うちの店舗に更衣室なんてないですよ。ロッカールームもありません。従業員の着替えは、えっと、お手洗い……」

 その場しのぎの言い訳にしても、飲食店のスタッフが「トイレで着替える」というのは感心しない。

 ちなみに、掲載の写真は、業者の告発の動きを察知した女性社長が、更衣室の隠しカメラの電源を切る様子。本誌が取材を申し込む5日前に撮影されたもので、「証拠隠滅」を図った彼女が「盗撮」の事実を知らなかったワケがない。

 このようにH社側の対応があまりにも要領を得ないため、今度は串カツ田中の本社に取材を申し込んだ。

 すると、更衣室の隠しカメラについてあっさり認めるのである。ただし、

「カメラはあくまで防犯を目的に設置したということです。設置業者による情報流出について警察に被害届を申請中なので、これ以上はお答えできかねます」

 という木で鼻を括ったようなご対応。この説明に、セクハラ問題に詳しい上谷さくら弁護士は首を傾げる。

「防犯目的であれば、むしろカメラの存在を従業員に周知すべきでしょう。今回のようなケースで防犯目的と弁明するのは詭弁に過ぎません。また、更衣室に隠しカメラを設置した時点で“のぞき見”に当たるため、軽犯罪法に触れる可能性もあると思います」

 やはり「盗撮」を正当化するのは難しい。串カツ田中もこれ以上の言い逃れはできないと悟ったのだろう。21日の晩に、改めて業者による告発内容を認める回答が届いた。そして、すぐさま事実の公表となった次第。

 ソースの二度づけは禁止でも、回答が2度に亘るのは構わないようだ。

週刊新潮 2019年1月3・10日号掲載

ワイド特集「崖っぷちの『猪突猛進』」より

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