東電OL事件で無罪「ゴビンダさん」は今 本人語る“年収1000年分”補償の使い道

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「豊かに暮らせている」

 ネパール帰国後、本人を取材したノンフィクション作家の長谷川まり子氏は、

「彼が無罪になって帰国した時、数百人の報道陣が詰めかけました。その数は、08年にネパールが民主化を達成した時より多かったというのです」

 そう振り返りながら、

「冤罪に苦しめられた15年間、およそ5500日分の“対価”として、彼はその6800万円を得たわけですが、これは、当時のネパールの平均年収のおよそ1000倍以上に相当する大金でした」

 実際に生活レベルは格段に上がったようで、首都カトマンズ近郊に住む当のゴビンダさんに、その後の生活を尋ねてみると、

「貰った補償金で、まずトヨタのランドクルーザーを買いました。1250万円もしましたが、ネパールは悪路が多いので、四輪駆動はとても重宝しています」

 とのことで、

「カトマンズの中心から少し離れた場所に、今の3階建ての家を建てました。以前住んでいた中心部にある家は貸家にしています。娘が2人いて、上の子はオーストリアで結婚し、現在はザルツブルク暮らし。生後4カ月の孫の顔を見に、私もこの前、現地へ行ってきました。下の子はネパール人と結婚して、豪州で働いています」

 2人の娘の結婚費用も、むろん補償金から捻出したという。そして、矛先は日本の警察へと向けられた。

「未だに真犯人が見つかっていないことには、怒りを覚えます。あの時、私の話を信じていれば、犯人を捕まえられたかもしれない。結果的に警察のミスで取り逃がしてしまったのだと思います」

 それでも、

「残ったお金は銀行に預けていますが、ネパールの銀行は長く預けると10~12%の金利が付きます。このお金が生活に潤いを与えてくれている。いい車に乗っていい家に住んでいるのだから、私は豊かに暮らせていると思いますよ」

 晴れて“成功者”になったというわけだ。

週刊新潮 2018年12月27日号掲載

ワイド特集「平成の『カネと女と事件』」より

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