日本史を歪めた「旧石器捏造」事件 “ゴッドハンド”のその後
「神の手」とはその実、歴史を汚した泥まみれの手でしかなかった。日本の考古学がまさしく水泡に帰してしまったのが、2000年に発覚した「旧石器捏造事件」。学問のみならず、日本史の教科書もまた“リセット”を余儀なくされたのである。
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事件は、新聞のスクープによって暴かれた。
〈旧石器発掘ねつ造〉
そんな大見出しが「毎日新聞」朝刊1面に躍ったのは00年11月5日。遺跡発掘の場で次々に石器を発見し「ゴッドハンド」と讃えられていた藤村新一氏(68)が、あらかじめ土中に石器を埋め込む決定的瞬間を捉えた写真付きで報じられたのだった。
当時、取材班のデスクを務めていた渡辺雅春・毎日新聞北海道センター社長が振り返る。
「記事を出す前夜の取材に藤村氏は『魔が差した』と白旗を上げたのですが、5日の記者会見で捏造を認めたのは2カ所のみでした。ところがその後の調査で、藤村氏が関わった計162の遺跡で捏造があったと、日本考古学協会が断定するに至ったのです」
発覚直後から宮城県内の古刹に身を寄せていた藤村氏は、その数週間後、精神病院に入院。妻とは離婚し、入院中に知り合った16歳年下の女性と03年5月に再婚している。
「妻の実家のある福島県南相馬市に移り、一時期はNPO法人で働いていましたが、10年秋に退職。東日本大震災で被災し、避難生活を送っていた時期もありました」(関係者)
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