ショーン・ペンの小説は“出版への冒涜”!? アメリカでも続々登場「タレント作家」たち

エンタメ

  • ブックマーク

Advertisement

“モルダー捜査官”は3作目

 ショーン・ペンは散々な評価だったが、海外の“異業種出身”作家のクオリティが皆低いわけでは、もちろんない。

 たとえば、コナン・ドイルのオリジナルにも匹敵するとの評価を受けたのが、カリーム・アブドゥル=ジャバーが2015年に上梓した“ホームズもの”『Mycroft Holmes』。カリームの名は、バスケットボールファンなら誰しもがピンとくるはず。御年71歳の元NBAプレーヤーで、通算得点は3万8,387得点と歴代1位を誇る。史上最高のセンタープレイヤーと呼ばれることもある、レジェンドだ。

 そんなカリームが描くのは、シャーロック・ホームズの兄、マイクロフトを主人公に据えた物語で、昨年10月にはシリーズ第2作となる『Mycroft and Sherlock』が発表された。

「連続殺人事件を追う若きシャーロックと、政府の人間であるマイクロフトは、共にアヘンにまつわる謎に辿り着く。猟奇的な殺人とアヘン取引の裏には何があるのか?という内容のようです。第1作目はセールス的にも成功したようで、今年はシリーズ第3弾も予定されています」(先の関氏)

 1作だけならマグレもあるが、2作、3作と出版できるのは実力がある証拠だ。その意味では、俳優のデイヴィッド・ドゥカヴニーも昨年5月に3作目となる小説『Miss Subways』を出版した。あるいは「X-ファイル」の“モルダー捜査官”と説明したほうが分かりやすいか。過去の2冊はそれぞれ邦訳されていて、処女作『ホーリー・カウ』と『くそったれバッキー・デント』がそれぞれ小学館文庫になっている。

「プライベートでは性依存症などに悩まされていましたが、元々はプリンストン大卒でイェール大修士課程修了のインテリです。1作目は私も読みましたが、面白かったですよ。最新作は、比較的古風なロマンティック・コメディー。ニューヨークに住む41歳の小学校教師と恋人の物語に、アイルランド神話が絡んだものだそう。小学生やその親たちの描写も秀逸だとか」

 俳優が優れた作品を書けば、どうしても俳優と比べてみたくなるものなのか。“同じ俳優でも作家としては誰かさんとは違う”として引き合いにだされるのは、やっぱりあの人で……。

「『ワシントンポスト』の書評のタイトルは、ずばり、〈作家としてはデイヴィッド・ドゥカヴニーはショーン・ペンではない〉でした」

 興味を持たれた方は、本稿で紹介した作品をお手に取ってみるもよし。「アイ・アム・サム」でも観て“ショーン・ペンは俳優だけやっていればいい”と再確認するも、よし。

週刊新潮WEB取材班

2019年1月3日掲載

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。