「ポツンと一軒家」「M-1」…「テレ朝」高視聴率番組は大阪「朝日放送」制作という真実

エンタメ

  • ブックマーク

Advertisement

「元日の顔」も朝日放送テレビが制作

 テレ朝の看板であるドラマも、実は映画会社の東映が制作しているものが多い。雑誌のテレビ担当記者が解説する。

「『相棒』と『科捜研の女』というテレ朝の人気ドラマは、東映が制作しています。あの面白さは、映画のプロが持つ技術抜きには語れません。テレビ朝日が制作したヒットドラマといえば『ドクターX~外科医・大門未知子~』で、平均視聴率は20%台でした。ところが、主演の米倉涼子(43)との話し合いがうまくいかず、『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』を新たに開始します。すると視聴率は最終回でも17.6%。シーズン中は最低で13.4%という数字も出してしまい、テレ朝としては少々、期待を裏切る結果でした」

 東映の「相棒」も「科捜研の女」も、近年は15%や12%という数字が出ることもある。だが、こちらは長寿シリーズだ。視聴習慣を持つ視聴者が下支えするため、視聴率は極端に下落しない。編成サイドには安定感が魅力だろう。また再放送が昼間の視聴率を支えていることは、ご存知の通りだ。

 朝日放送テレビの手腕は、スペシャル番組にも発揮される。再びライバルキー局の関係者にご登場いただく。

「朝日放送テレビは『M-1グランプリ』と『芸能人格付けチェック』も制作しています。前者は今年18年、ビデオリサーチの関東地区で17.8%と好調でしたし、“上沼恵美子騒動”は社会的な関心事になりました。後者も今年が19.6%。09年から同時間帯のトップに君臨しており、“テレビ朝日の元日の顔”を朝日放送テレビが制作するという、一種のねじれ状態になってしまっています」

 東京在住で「探偵!ナイトスクープ」のファンなら、テレビ朝日と朝日放送テレビの“確執”をご存知かもしれない。関西地区の人々にとっては金曜の23時17分から始まるのは常識だが、テレビ朝日では放送していない。

 正確に言えば、1992年から2005年にかけては放送していたが、当初は放送開始が土曜の2時40分という滅茶苦茶な時間が選ばれるなど、不当な冷遇が話題になった。この不可解な状況を解説する際、「テレビ朝日と朝日放送の不仲説」などが指摘されていたのだ。

「今のテレ朝は“日テレに追いつけ追い越せ”と、視聴率三冠王を目指しています。もう、なりふり構ってはいられません。朝日放送に頭を下げ、『芸能人格付けチェック』を新たに制作してもらいました。今年は3月と10月の視聴率強化週に『格付けチェック』の3時間スペシャル版をオンエアしています。たとえ確執があったとしても、もう過去の話でしょう」(同・関係者)

 そもそも、朝日放送の番組制作は伝統がある。1962年から68年まで放送された「てなもんや三度笠」は、関東の最高視聴率が42.9%、関西に至っては64.8%(ニールセン調べ)という驚異的な数字を達成した。

「今はレギュラー番組ではなくなりましたが、『大改造!!劇的ビフォーアフター』も朝日放送テレビの制作です。あのスタッフの一部が『ポツンと一軒家』にも参加しています。ライバル局の関係者だから言うわけではありませんが、実のところ、テレビ朝日の制作する番組は結果を出せていません。朝日放送テレビと東映に頼りすぎです。そもそも元日のゴールデンは、キー局が番組を制作する責任があると思います。それを朝日放送テレビに“外注”している。プライドはないのかと言いたいですね」(同・関係者)

 実のところテレビ朝日の社員は、「プライドなんて糞食らえ」と思っているかもしれない。まずは日テレを蹴落とし、悲願である視聴率三冠王の座に就く。自局の番組制作を拡充させるのは、それからでも遅くない――。

 このなりふり構わない姿勢が、大金星に繋がるかもしれない。もしくは番組制作能力の低下を招き、自ら墓穴を掘ってしまうことになるのか。

 いずれにせよ2019年も視聴率を巡り、日テレとテレ朝の激しいバトルが繰り広げられるのは間違いないはずだ。

週刊新潮WEB取材班

2018年12月31日掲載

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。