病院では教えてくれない「心房細動」の予兆の見つけ方 心臓病を防ぐ成分“ポリアミン”とは

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心拍数目安を知る“公式”

 最後に食生活と並んで予防に欠かせない運動法をご紹介しましょう。

 北欧スウェーデンで行われた「心房細動と運動の関係」についての研究を基にお話しします。結論から言えば、軽度の運動が心臓には良い。なおかつ有酸素運動は心臓病のリスクを減らすとされています。

 いったい心臓に良い軽度の運動や有酸素運動とはどういったものなのでしょうか。それには個人差があって、自分の最大心拍数の80%程度が効果的な運動と言われています。

 そこで、簡単に自分の最大心拍数の目安を知る方法をお伝えしておきましょう。

 その公式は220−自分の年齢です。例えば、20歳の方なら大体200、60歳の方なら160くらいが運動する際の最大心拍数。その80%程度の心拍数でできる運動が、自分にとって心肺機能が高くなる有酸素運動となるのです。

 80%を超えると無酸素運動となって、発症リスクを上げてしまいます。目安としては、ジョギングなら「今日は天気がいいね」と、普通に話せるペースで走ること。これが有酸素運動としては丁度いい。

 ですから、走りながら「今日」「天気」「いいね……」などと、途切れてしか話せないほど息が上がってしまう場合は、ペースが速すぎて無酸素運動の状態になっていると思っていいでしょう。

 自分に最適の有酸素運動を1回30分、週に3〜5回行うのが良いとされています。心房細動の患者さんでも、心肺機能を高める効果は得られますから、今回紹介した脈拍が分かる時計などのグッズを身につけて貰えれば、異常時でも早く気づけて安心して運動に集中できると思います。

 血圧を気にする人は多くても、脈拍数を気にする人はそうはいないと思います。だからこそ、さっそく実践して、心房細動を招かない体づくりをしてみませんか。

 放っておくと恐い病気でも、今は治療法がとても進んでいますから、まずは敵の傾向を知って、対策を練るところから始めてみては如何でしょう。それこそが、貴方にとって「21世紀の流行り病」を克服する第一歩になるのです。

古川哲史(ふるかわ・てつし)
東京医科歯科大学教授。1957年生まれ。東京医科歯科大学大学院医学系研究科博士課程修了。同大学難治疾患研究所・生体情報薬理学分野教授。著書に『臨床力をアップさせる循環器のギモン31』『血圧と心臓が気になる人のための本』など。最新刊は『心房細動のすべて

週刊新潮 2018年12月27日号掲載

特集「患者数170万人!  突然人生が終わる『心房細動』」より

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