GPファイナル優勝「紀平梨花」はどこがすごいのか 浅田真央との違いは?

スポーツ2018年12月10日掲載

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 日本の女子フィギュアに新星が現れた。12月9日(日本時間)カナダ・バンクーバーで行われたグランプリファイナルの女子フリースケーティングで、16歳の紀平梨花(関西大学KFSC)が合計233・12点で初出場初優勝の快挙を成し遂げた。それも、昨年のグランプリファイナルで優勝し、今年の平昌オリンピック金メダルのザギトワ(16)を制しての栄冠である。

 紀平はどこが優れているのか、浅田真央(28)とは何が違うのか、元国際審判員でフィギュア解説者の杉田秀男氏に聞いた。

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――日本選手とロシア選手3人ずつで迎えたGPファイナル。総合成績は、1位:紀平(233・12) 2位:ザギトワ(226・53) 3位:トゥクタミシェワ(215・32) 4位:坂本花織(211・68) 5位:サモドゥロワ(204・33) 6位:宮原知子(201・31)と、ザギトワのみならず、平昌オリンピック出場の日本人選手も翳む強さだった。

杉田:もうね、紀平さんはいま、フィギュアで演じることが楽しくて仕方がないのだと思いますよ。伸び伸びと演じており、試合に出るたびに実力がついてくる。練習と違って、試合となると心理面やコンディションなども影響してきますが、試合を重ねることで慣れも出てくる。紀平さんは今シーズンは滑るたびによくなっていて、伸び盛り。フリーでは序盤にトリプルアクセルで崩れましたが、即座にトリプルアクセル+2回転トゥループに変更して立て直すなど、始めにミスをしても引き摺らない。今の強さは誰にも止められない状態です。

――いきなり強くなって現れた感すらあるが。

杉田:もともと紀平さんは運動能力が高く、ジャンプだけならジュニアの頃からシニアに負けない実力がありました。ただし、それらを結びつける表現力をつけるには試合経験が重要です。昨年あたりから、表現力が加わってきて、さらにジャンプも思い切って飛び、絶えず攻めているので、動きが小さくまとまることがないのです。それには守るものがない、という強さもありますから。

――ザギトワは勝ちを意識しすぎたのか。
 
杉田:確かに、ザギトワは勝って当然のような見られ方をされ、守りに入ったようなところがありました。守りに入ると動きは悪くなりますから。それと女性の場合は身体の変化も重要です。ザギトワは平昌五輪後の半年で身長が7センチも伸びたそうですし、見た目も平昌の時は少女でしたが、急に大人っぽくなりました。滅多にミスをすることがなかった彼女が思い切った動きができなかったのは、心境と身体の変化の影響だと思います。

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