「下町ロケット」出演者の“非俳優率”は21.7% TBSの新キャスティング戦略とは

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コストカットの効果も

「まず歌舞伎役者やお笑い芸人のファンには、普段あまりテレビドラマを見ない層が存在します。そのため番組にキャスティングすると、ファンがチャンネルを合わせる可能性があり、視聴率のアップが期待できます。また本音を言えば、特にお笑い芸人の方々は俳優ではないという理由からギャラを安くできる。だから起用されるんです」(同・制作スタッフ)

 昨今、テレビ業界も予算削減が至上命題だ。おまけに、視聴率を確実に取る阿部寛のギャラは高額なことでも知られている。芸人キャストを増やすことで、予算の辻褄を合わせることができる。

「ギャラが安くてもドラマの出演依頼があれば、芸人も事務所も大喜びです。芸人にとってバラエティは、文字通りの戦場。身体を張り、笑いを取るために全精力を消耗します。一発勝負ですから、やり直しもききません。ところがドラマの収録は、スタッフが現場の雰囲気を良くすることに心血を注ぎます。間違いを防止するためにリハーサルを入念に行いますし、仮に間違えても再撮が可能です。お笑い芸人にとっては、天国のような現場です」(同・制作スタッフ)

 しかも、視聴者に「演技力があるね!」と感心させれば、一気に仕事が広がる。テレビドラマや映画の出演依頼だけでなく、CMのオファーも夢ではない。そして「ドラマでも活躍できる芸人」として認知されると、面白いことにバラエティのギャラも上がるのだという。

「TBSが『半沢直樹』でブレイクさせたのは、木下隆行さんです。それまでにも映画やドラマに出演していましたが、注目はされていなかった。ところが『半沢直樹』の演技で一般視聴者も彼の演技力に気づき、映画やドラマ出演の依頼が増えます。今は“お笑いタレント”だけでなく“俳優”と紹介されることもあるほどです」(同・制作スタッフ)

 TBSは『半沢直樹』で会得した“勝利の方程式”を、さらに進化させた。それがイモトアヤコの配役だ。

「TBSの狙いは、日テレ系列の『世界の果てまでイッテQ!』が持つ高視聴率を、少しでもお裾分けしてもらおうということなんです。『イッテQ』は同じ日曜の午後8時から放送され午後8時54分に終了。そして午後9時から日曜劇場です。特にイモトアヤコさんが出た『イッテQ』を見た視聴者は、『そういえばドラマに出ているんだっけ』とTBSにチャンネルを合わせてくれることを期待したというわけです」(同・制作スタッフ)

週刊新潮WEB取材班

2018年12月9日掲載

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