ともに「新垣結衣」主演でも 「逃げ恥」にあって「けもなれ」にないもの

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焦点が定まらない

 では、なぜ離れるのか。テレビドラマ研究家の古崎康成氏が語る。

「星野源には意外性がありました。多くの視聴者が“この人、誰?”と新鮮に感じたでしょう。なにより彼が“恋ダンス”の曲の歌い手だったことで、その組み合わせの面白さと相乗効果があったのだと思います」

 このあたりは、やはりTBSがうまいという。

「『下町ロケット』に古舘伊知郎を起用して興味を惹いたりしていますよね。もちろん松田龍平はいい役者ですけれど、『けもなれ』では、ワイルドで気難しい性格の役柄。目新しさがありません。“恋ダンス”に相当する仕掛けもないですし」

 星野源がいない、意外性に欠ける、といったところか。コラムニストの林操氏の見方はこうだ。

「主人公に感情移入しにくいのでは。ガッキーの演じる女性は、仕事も私生活も、あまりにキツい。可哀想すぎます。松田のエリート会計士も重い過去を背負っています。リアリティーにこだわる野木さんの脚本がうまくできているので見続けているのですが、『逃げ恥』の明るい世界観とのギャップの大きさを感じます」

 ライターの吉田潮氏も、

「両ドラマの違いは、分かりやすさ、でしょう。『逃げ恥』は斬新な結婚の形を描き、新しいテーマを分かりやすく提示していました。一方の『けもなれ』は、人物設定に要素が詰め込まれ過ぎていて、焦点が定まらない感じがします」

 星野源、意外性、感情移入、分かりやすさ。これらの改善でヒットするのか。先の古崎氏は言う。

「ドラマとして良質であることと、テレビ的に数字が取れることは必ずしも一致しません。真面目に作るだけでは限界があり、突き抜けるためには、目新しい仕掛けが必要だと思います」

 最終回まで折り返し地点を過ぎた。上昇するための時間もさほど残っていない。

週刊新潮 2018年11月29日号掲載

ワイド特集「秋風吹いて同床異夢」より

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